山野に生える落葉蔓性植物。雌雄異株とされているが、私は雌雄同株も確認した。以前はモクレン科とされていた。
植物全体にマツに似た匂いがある。マツブサ(松房)の名前の由来に「樹皮がマツに似ていて、果実がブドウの房が垂れ下がる様子に似ていることから」というものがあるので、ひょっとしたら匂いも関係しているのかもしれないと思う。
マツブサは、探しても意外と見つからない。分布範囲は広いが個体数は少ないように思う。やっと見つけた数本を追跡観察してみた。殆どが雄木で、雌木は数本であった。見かけた回数こそ少ないものの、これまでに見た場所は林道沿いが最も多く、林のふちがそれに次ぐ。古木は少なく、若木ばかり見つかる。これは、たまたまかもしれないが、面白いものだ。もしかしたら、珍しい植物ゆえに盗掘対象になり、古木の数が少ないのかもしれない。
マツブサは実生や挿し木で簡単に増やせる。半日陰に自生する植物だが、栽培では良く陽に当てることが大切。苗木を植え、伸ばし放題で7年目位でやっと松肌の貫禄が出てくる。近年では山野草店でも売られるようになってきた。
(マツブサ/マツブサ科 2022年3月.記)