地中海沿岸から西アジアに分布する植物。春から初夏にかけて咲いた花からこぼれたタネは秋に芽を出し、冬を越して翌春に花を咲かせる。いわゆる二年草だ。現在は15種以上あると言われている。クロタネソウの花はとても独創的な形をしている。苞が糸状になって花を包み、シンプルな花形ながら豪華に見える。花びらのように見えるのはガク片で、色は白色~青色。一重から八重まである。
クロタネソウは薬用のほか観賞用として栽培され、ハーブブームの頃からより身近な植物になったように思う。葉の形がニンジンやヤブニンジン、ヤブジラミと少し似ているためよく間違えられる。以前、何度かあったことなのだが、「ニゲラ(クロタネソウのこと)を栽培していたら全く違った花が咲いた。新品種ではないか?」と持ち込まれた株を見たら明らかにヤブニンジンで、持ち込んだ方々はがっかりして帰っていかれた。今でも年に1,2件は鑑定依頼のある植物である。
タネが黒くゴマのような形なので、食べられそうに見えるが食べてはいけない。クロタネソウはアルカイド系の成分を含み、薬用に用いられるが毒性が強い。私も心していることだが、素人処方は禁物だ。
(クロタネソウ/キンポウゲ科 2024年1月.記)