川や沼、湿地などに生える多年草。キャンパスにあるコウホネのルーツは手賀沼の渕で、40年ほど前に分けてもらった株から増やしたコウホネである。
40年ほど前。手賀沼の渕で「趣味でコウホネを栽培している」という農家のおじさんに会った。田んぼの中に咲くコウホネの写真を撮らせてもらった時に話が弾み、おじさんがその場で一株を掘ってくれたので、有難く頂いた。そのコウホネは、手賀沼の水がまだきれいだった頃に柏市あたりでおじさんが掘り取ってきたものということだった。当時、おじさんはコウホネの他にもシャジクモやミズオオバコ、スブタなど数種類の水生植物を田んぼの清水を引いたところで作っていた。だが、そのおじさんが亡くなり、後に田んぼの企画整理が行われた時にコウホネをはじめとした全ての水生植物が無くなってしまった。今、そのあたりにコウホネの自生は全く無い。かろうじて何人かの趣味家たちの手により別の場所で維持されているのが現実だ。
私の知る限り、おじさんのコウホネは今ではキャンパスにある株が唯一の生き残りだ。私は‘一応は手賀沼産’のコウホネをキャンパスで増やし、手賀沼の12~13か所に植え戻した。だが、それらもほとんどが盗掘されてしまい、植え戻したコウホネを確認できるところは2022年現在、4か所だけだ。ここ数年で水生植物の多くが激減している。敢えて明言はしないが、色々な原因が考えられる。
昭和40年頃に一度汚れてしまった手賀沼も、今は水がきれいになってきたので、また水生植物が増えることを期待している。
(コウホネ/スイレン科 2022年2月.記)