世界に300種以上あると言われている多年草の多肉植物。アフリカ大陸南部をはじめ地中海沿岸やカナリヤ諸島などにも広く分布する。日本では「アロエ」と言うとキダチアロエをさすことが多い。キダチアロエは外用から内服まで、民間薬として古くから利用され、別名「医者いらず」とも呼ばれてきた。
50年ほど前、キダチアロエは千葉県では海岸沿いでしか越冬できなかった。だが、20年ぐらい前からは越冬する姿を見るようになってきた。これも温暖化の影響だろうか。30年前頃からはキャンパスでも、地植えにしたキダチアロエが越冬し、花を見られるようになった。今年は20本の花茎が伸びてそれぞれに花が咲き、冬の薬草園を飾ってくれている。
花の時期にはヒヨドリたちがやって来て、キダチアロエの花を啄んでいる。花をちぎって好きなところへ持って行き、花の元をつぶして蜜を吸っているようだ。以前、キダチアロエの写真を撮りに行った時、私は撮影後に数花を摘んで食べてみた。ヒヨドリたちの真似をして花の元をかじり、蜜を吸ってみた。結構甘く、蜜を求めてやって来るヒヨドリたちの気持ちがわかるような気がした。今年の冬、キダチアロエの花にはツマグロヒョウモンのオスも蜜を吸いにやって来ていた。彼は成虫越冬できるのだろうか?
(アロエ/アロエ科 2021年12月.記)