以前は野原や畑地、土手などにふつうに生えていた多年草。宅地開発や外来種のセイヨウタンポポとの生存競争に負けたのか、30年ほど前から姿を見る機会が急に少なくなってきた。
私の知る限り、千葉・茨城あたりで純粋なカントウタンポポの自生地は6か所しかなかった。その自生地で形態を観察してみると、純粋なカントウタンポポの個体はほとんど見当たらなかった。セイヨウタンポポとの交雑による中間種が多いように見えた。
私がよく行く手賀沼周辺には、まだかろうじて残っているカントウタンポポの自生地があるにはある。だが、セイヨウタンポポとの中間種と思われる形態に移っている。他には、手賀沼そばの畑の近くにある空き地に3か所の群生地があった。そこのカントウタンポポは、除草剤をかけられて無くなったのだが、近くに生えていたセイヨウタンポポは弱ったものの、その後回復した。カントウタンポポはセイヨウタンポポとの生存競争に負け、除草剤にも弱かったようだ。
現在、少ないながらも房州の谷津田周りでカントウタンポポが見られる。だが、セイヨウタンポポの勢いを考えると無くなるのも時間の問題か。
習志野キャンパスには私がタネを播いたカントウタンポポが数株だけある。これは意識して残さないといずれ無くなってしまうだろう。なので、タネの採り播きをするなどの維持管理をする予定だ。一方で、セイヨウタンポポは見つけ次第抜き去る。とはいえ、セイヨウタンポポもハーブのひとつなので、少しは植えてある。
(キク科/カントウタンポポ 2022年3月.記)