湿原や山のふち、田んぼの畦などに生える多年草。オレンジ色の花が柿色に見えることからこの名で呼ばれる。カキランは花や葉の色、花弁や葉の形などの変化が多く、珍しいものは高値で取引されている。産地(生えている場所)により微妙に違いがあるのが魅力で、愛好家の気持ちがよく解る。
かつては清水が湧く場所の近くで湿地を探すとよく見かけた。私が高校生の頃、成田市龍角寺付近で植物調査をした際には20か所ほどの自生地があった。今では各地の有志が保護する保護地区でしか見ることができなくなってしまった。それでも、ここ20年ほどで保護運動が広がり、各地で細々と保護されている。保護地区での盗掘を耳にするたびに心が痛む。
流通用の栽培法は、いわゆる「クローン」栽培のメリクロン栽培や、無菌培養での実生で増やしたものが販売される。
小さな苗では成長が遅く、瓶出し苗で開花まで6年ほどかかった。
一般的な増やし方は「株分け」で、地下茎を切って増やす。この時、地下茎を2節ずつ切っても勿論芽は出るが、4節で切ったほうが、成長が早い。小分けをしてしまうと、発芽はするが作上がりせずに枯れることがよくあるのだ。なので、あまり小さく切らないことをおすすめする。
(カキラン/ラン科 2022年3月.記)