ジロボウエンゴサクは山野に生える多年草。花期は春から初夏。キャンパスでは11月下旬に葉が出はじめ、越冬して、かなり早いものは2月頃に花を咲かせる。花色は薄紫が基本色。他に白色から紫色まであり、色の濃さも様々。
私が見てきた限り、群生しているジロボウエンゴサクでは大きさや花色の“変化”は殆ど見られない。単独や数株で生えているものに“変化”があるように思う。単独で生えている株は全体的に大きい。ふつう、草丈は18cm前後なのだが、ごく稀に30cmほどに成長した株に出会うことがある。花はふつう1.5cmほどだが、草丈30cmともなると花も二回りほどは大きかった。
私はこれまでに群生地をいくつか見てきた。少ない場所で数十株、多い場所では数千株にもなる。ジロボウエンゴサクは草丈のわりに花が大きく、一見して高山植物を思わせるような姿をしている。筑波で見た群生は足の踏み場もないくらい一面薄紫の花に埋め尽くされ圧巻であった。
栽培は非常に簡単。実生または節にできるムカゴで増やす。花が終わると地上部が枯れ、すぐに休眠に入る。夏場は球根で過ごし、早いものは秋に葉を出しはじめて4月頃に花を咲かせる。他の植物が成長している時は休眠しているので植えた場所に目印をつけておくと良い。
ジロボウエンゴサクは漢字で「次郎坊延胡索」と書く。春先に咲くスミレをタロウボウ(太郎坊)と呼ぶ地方があり、それに対してこの植物がジロウボウ(次郎坊)と呼ばれる。
(ジロボウエンゴサク/ケシ科 2021年12月.記)