中国原産の常緑低木。雌雄異株。日本へは薬木として渡来。室町時代にはすでに栽培されていた。花の香りが良いため、後に観賞用として各地に広がり、栽培されるようになった。キンモクセイ、クチナシとともに「三大香木」と呼ばれる。現在は白花、斑入り種などが出回ってきており、愛好家が増えている。
かつて、国内の園芸店などで流通していたものは殆どが雄木の挿し木繁殖で増やされたものだったが。雌木が導入されるようになり、ジンチョウゲの実を見ることができるようになった。私が子供の頃は、実を全く見ることができなかったが、ポツポツ見かけるようになったのは確か20年前ごろからだろう。初めてこの目で赤い実を見た時には、すごく感動したことを今でも思い出す。手ブレの写真しかないのが残念。
ジンチョウゲは挿し木で簡単に増やせるが、葉張り1.5mを超えると移植は難しくなる。それは、根が数本出て遠くまで伸び、また細根が少ないことによる。苗木を植え、移動せずにおけば50年位は元気に育つが、ウイルス病にかかりやすい植物なので注意が必要。販売されている苗でもウイルス病にかかっていると思われる個体を目にすることがある。
どうしてもジンチョウゲを移植したい場合には「追い掘り」がよい。少ない根を追いかけてできるだけ長く掘り取り、ぐるぐると根元に巻き付け、根を乾かさないようにする。葉枝は3分の2ほど切り落とす。私の経験では、これだけ根を残しても定着するのは3割ほど。慣れない知人たちが行ったものは殆どが枯れた。非常に気難しい植物である。
(ジンチョウゲ/ジンチョウゲ科 2021年12月.記)