

本州中部から沖縄にかけて分布する二年草。私が子どもの頃は日当たりの良い畑地や土手、空き地や道端などでふつうに会えた在来種だ。だが40年くらい前からほとんど会うことができなくなってしまった。残念である。イヌノフグリは除草剤の普及や環境の変化で数を減らし、外来種のオオイヌノフグリなどとの生存競争に負けたものと思われる。今では絶滅危惧種となってしまった。
イヌノフグリは早春に2~3mmほどの小さな淡青紫色の花を沢山咲かせる。すごく小さく愛くるしい、春を告げる花だ。まだ寒い時期に芽吹くので霜に当たると葉が黄色く霜焼けをする。私は今までに20回ほどしか会ったことがない。なので、会えた時はとてもラッキーな気持ちになり、しばらく観察をしていた。雑草同然の扱いをされるような結構強い植物であったが、無くなるときはあっという間だ。私は動植物たちを知り大事に後世に残していきたいと思う。絶滅する前に何とか保護をして増やしたいものだ。
イヌノフグリにはごく稀に白花やピンク花がある。15年ほど前、運良く白花に出会い写真に収めることができた。だが、写真が焼けてしまったので処分してしまった。その後も気にかけて見ているのだが未だ白花には会えていない。イヌノフグリの白花は私にとって幻の花になってしまった。記憶の中でしか会えずとても残念である。でも、いつか会えるかもしれないとアンテナはいつでも張っている。
(イヌノフグリ/オオバコ科 2024年1月.記)