沼や池などに生える多年草。北海道から九州まで、日本各地に分布する野生のスイレン。ヒツジグサは熱帯スイレンや温帯スイレンよりも全体的に小さく可愛らしい。未の刻(午後2時)頃に開花し始めるのでこの名が付く。
習志野キャンパスあったヒツジグサは小ぶりな花で、花付きが良かった。産地は尾瀬で小屋の親父さんからタネをもらい、育てていた。オゼコウホネのタネをもらった時に一緒にもらったのだ。だがある日、突然なくなってしまった。残念である。現在キャンパスにあるヒツジグサは福島産で、知人から分けてもらったものだ。
私が育てたヒツジグサの3つの花からは約30粒のタネがとれた。そのうち8割は5年以内に開花してくれた。ヒツジグサの栽培は意外と簡単だ。ただ、成長が遅く開花までには実生で3年から5年ほどかかる。早い個体で3年目に初花を見ることができた。普通に育ったもので4年目。成長が遅かったもので6年かかった。
ヒツジグサの栽培は簡単だが、気を付けることは、夏は半日陰で過ごし水温を上げないようにすることだ。そして、肥料は与えすぎない。
私の経験上、ヒツジグサは発芽してから1年はそのままにしておくのが失敗のない栽培のコツのように思う。発芽したからと喜び、すぐに植え替えてしまうと、ほとんどが根付かずに枯れてしまう。大株になって株分けをする時には小分けにせず、出来るだけ大きく分ける。私は株分けの際に切り口に赤チンを塗った。切り口を乾かしてから植えると腐りにくいように思う。
ヒツジグサは小さな変化が多い植物だ。花弁数が増えたり、花弁の幅が広くなったりと、産地によって花形が微妙に違う。栽培をしていると、まれに花弁に少し紅が差す株ができることがあるが、安定せず、翌年には普通の花に戻ることが多い。私はこの植物の変化の特徴がまだよくわからない。
(ヒツジグサ/スイレン科 2022年2月.記)