
ヒメリンゴは中国原産の落葉高木。薬用や観賞用として栽培される。和名をイヌリンゴというが、ここでは一般的に知られる「ヒメリンゴ」の名前で書こうと思う。
春にたくさんの白い5弁花を咲かせ、後に小さなリンゴの実をつける。実は熟しても酸っぱいためデザートとしてそのまま食べるには不向きだが、高温で溶かした砂糖にくぐらせて作るりんご飴の材料に利用される。
ヒメリンゴは庭植えや鉢植えとして流行った時期があり、私が小学3年生の頃には近所のどこの家にも1本はあった。我が家の庭にもあって、その木で熟した実を絞った果汁に砂糖を加えて甘くしたものをリンゴジュースとして飲まされたものだが、市販の甘いリンゴジュースと違い、すごく酸っぱかった記憶がある。渋味も感じた。それが原因で、私はリンゴジュースをあまり好きではなくなったように思う。リンゴジュースを飲むと今でもあの味を思い出すのだ。
とはいえ、当時は今のように食べ物があまり豊富ではなく、私はたまに台所から持ち出した砂糖をヒメリンゴに付けおやつとして食べていた。
現在は食用というよりも観賞用として鉢植えのヒメリンゴをよく見かける。盆栽風に切り詰め、花と実を楽しむ。似たような鉢植えに花期がほぼ同じミヤマカイドウがある。どちらもほとんどが接ぎ木だ。そのため株元の根張りが悪く樹としての評価はあまり高くない。だが、きれいな花が咲き、実が成ることから縁起物として重宝されてきた。
冬に実が成り、さらに験担ぎになる植物が特に好まれるように私は思う。
(ヒメリンゴ/バラ科 2024年10月.記)