台湾や中国を原産とする多年草。林床に生える。ハッカクレンは大きな葉を2枚出し、下向きに赤紫色の花を付ける。日本では近年の温暖化により地植えでも越冬するようになった。
40年ほど前、ハッカクレンは国内では貴重で高価な植物だった。今ではホームセンターや花屋などで売られるようになり珍しさの点でも他の植物とあまり変わらなくなってきた。“洋種の山野草”として人気があり、特に斑入り種は高値で取り引きされている。私はここ15年くらいでアメリカハッカクレン(ポドフィルム)や和名のついていない近似種など7種を店頭で見かけた。
ハッカクレンの斑入り種を初めて目にしたのも40年ほど前だが、その頃は小さな苗の価格が4~5万円だった。ここ20年で数種の斑入り種を山野草展などで目にする機会が急に増え、近年では同品種が3千円ぐらいで手に入るようになってきた。ハッカクレンは非常に丈夫な植物で小分けが出来ることと、斑入り植物ブームが落ち着いたことで安価になったものと思われる。
とはいえ、苗から開花株まで育てるには3年ほどかかる。ハッカクレンに限ったことではないが、斑入り種を育ててみるとわかるのだが、斑が少なくなったり消えたりすることがある(覆輪斑を除く)。それが、小分けをしたり小さく作る事でふたたび斑が現れたりする。斑は小分けをしたほうが派手に出る傾向が強いように思う。ハッカクレンも例外ではない。あくまで私が栽培してきた経験上の話ではある。
今年の冬は例年に比べて特別に気候がおかしかった。キャンパスで栽培しているハッカクレンが12月に発芽し2月の寒さで地上部が枯れてしまった。大丈夫かなと思いながら見守っていたところ、3月上旬に新しい芽を吹き、枯れた葉を霜よけにして無事大きく育った。そして今、花を咲かせている。株がしっかりして充実していれば何度でも復活する、生命力の強い植物である。今年のハッカクレンは心筋梗塞を患い少し気落ちしていた私を元気づけてくれているように思えた。
話は逸れるが、我が家では今年の2月にオオカマキリが卵からかえり驚かされた。いつもなら4~5月頃なのだが・・・。皆かえったわけではなく、10匹程度だったようで、彼らのその後がとても気になる。64年間生きてきてこんなことは初めてである。今年の冬はやたらと暖かく早春に咲く花たちが例年に比べて10日程早く開花した。気候がおかしかったので花も昆虫も時期を間違えたのだろうか。とてもへんな年である。今年は花たちの開花時期が読みづらい。
(ハッカクレン/メギ科 2024年3月.記)