秋に花が咲く植物。初夏に咲く個体もある。私がよく通う場所では、ギンリョウソウよりも開花期が半月ほど遅いように思う。
ギンリョウソウ同様、薄暗い林床に自生し、周囲の樹木と外菌根を形成し共生する菌従属栄養植物。ギンリョウソウに姿がよく似ていることから、ギンリョウソウモドキと呼ばれる。果実は蒴果。液果をつけて花後に消えてしまうギンリョウソウと違い、花後に枯れた姿が残るので、そこで違いがはっきりとわかる。
私がよく通う筑波山や、その隣の加波山には、ギンリョウソウモドキ、ギンリョウソウ共に自生している。花期が重なる時期に行くと両方とも観察ができるので面白い。私が見た限りでは、筑波山では7割くらい、隣の加波山では8割くらいをギンリョウソウモドキが占めていたように思う。 近くでよく観察をすれば2種を見分けることができるが、これまでも、ギンリョウソウだと思いながら、実はギンリョウソウモドキを見てきた、ということがあったのではないかと思う。いわゆる思い込みである。植物史や植物目録に「‘ギンリョウソウ’が分布する。」という記載があると、つい鵜呑みにして、ギンリョウソウだと思ってしまう。悪い癖だ。
余談だが、私は植物目録で筑波山にギンリョウソウがあることを知って、それまでは行かなかった夏期の筑波山にも登るようになった。
筑波山ではギンリョウソウモドキ、ギンリョウソウの仲間のシャクジョウソウも、これまでに6株を確認した。これらの植物は、あまり人目に付かないところに生えているので、是非、興味を持って探してみてもらいたいと思う。
(ギンリョウソウモドキ/ツツジ科 2022年3月.記)