山野や湿った空き地などに生える多年草。薬用の他、山菜としてずっと昔から食べられてきたと言われている。山菜採りの入門種。食用として知られるフキだが、観賞用の品種に、アカブキや斑入りのフキなどもある。
フキは大抵どこの山でも見かける。特に沢沿いに多い。春先の山菜の代表であるフキノトウは、フキの蕾で、全体に独特の苦みがある。調理法によっては苦味が薄くなるが、正直に言うと私には苦すぎる。
東北の知人はフキノトウが伸びきったものもフキのように煮浸しにして食べていた。ご馳走になった伸びきったフキノトウの煮浸しは蕾の時よりも苦味が薄く、とても美味しかった。
フキノトウは生えている場所によって苦味が違う。苦味が少ないのは、雪渓の側に生える葉緑素をあまり含まない黄色いフキノトウである。登山を始めたばかりの頃、山小屋の親父さん達に誘われて、よく採りに行った。生の黄色いフキノトウを刻んだものを食べさせてもらうと、香りだけがすごく有って、苦味はほとんど無かった。山小屋では、他にも汁の実(具)や天ぷらなどにしたものをご馳走になった。黄色いフキノトウが美味しかったので、その後の登山で、よく見る薄い緑色のフキノトウを採ってインスタントラーメン(塩味)に入れてみた。だが、やはり緑色のフキノトウは苦くて食べることができなかった。なので、その頃は雪渓の黄色いフキノトウだけを選んで食べた。
一般に、フキは草丈が80cm、葉幅30cmほどに成長する植物だ。私の知る限り、フキは北に行けば行くほど、草丈も葉も大きくなる。東北では葉幅が1.5mにもなるアキタブキの自生地がある。高校生の頃に見た、沢沿いに生えている姿は見事だった。
(フキノトウ/キク科 2021年12月.記)