山地に生える多年草。スミレの仲間でニンジンの葉を広くしたような独特な葉形をしている。千葉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。
私が初めてエイザンスミレを見たのは小学校低学年の頃だ。そのエイザンスミレの葉は、私が知るスミレのものには見えなかった。スミレの多くの仲間の特徴として、花の時期の葉は小さく、花後には大きくなる。エイザンスミレの葉は4~5月の花の時期には小さく、長さが2~3cm、幅1cmくらいだったのだが、それが夏になるととんでもなく大きくなって驚かされたことを覚えている。3~4倍くらいの大きさになっていたのだ。花は他のスミレに比べて大きめだ。花色は白~濃紫まで産地によって、また株によって微妙に違いがあり、見比べるとかなりの個体差がある。ひとつの山だけでも非常に多くの違いが見られる。
栽培
エイザンスミレは移植を好まないので実生で増やす。主根が地上部の茎と同じくらいの太さの貧相な根なのだ。そこから少しの細根を出す。夏の暑さにやや弱く、特に、小さいときの苗は暑さで病気にかかりやすく、溶けるように枯れていく。水はけをよくし、半日陰で栽培するのがコツ。スミレの仲間は昔から薬用や山菜として使われてきた。また、一部の地域では「タロウボウ(太郎坊)」と呼ばれ、子どもたちの遊びのなかで親しまれてきた。今では山野草として品種改良され、色々な花色が楽しまれるようになった。
(エイザンスミレ/スミレ科 2022年1月.記)