低山帯から亜高山帯の山中に稀に生える多年草。ベニバナヤマシャクヤクはその珍しさから盗掘され激減し、絶滅危惧種になってしまった。私の知る限り、現在は積極的に保護をしているところ以外に群生地はほとんど無い。本州ではよほどの山の中でないと見ることはできそうにない。近縁種のヤマシャクヤクよりも個体数はかなり少ないように思う。
ベニバナヤマシャクヤクは草丈が高くスリムな見た目をしている。草のわりに花は小さい。山野草としてかなり人気があり、愛好家も結構いる。私の好きな植物のひとつでもある。高校生の頃から植物誌の目録を参考に自生株を探しているが、これまでに数株がぽつぽつと生えているところか、子株が生えているところくらいしか見たことがない。
場所にもよるが、ベニバナヤマシャクヤクが発芽するのはヤマシャクヤクが咲き始めた頃だ。ベニバナヤマシャクヤクは花の時期が短く、3日ほどしか持たないこともある。私は開花している姿を写真におさめるために、何年もかけて何度も自生地に足を運び撮影をした。かつて尾瀬の長蔵小屋付近にはベニバナヤマシャクヤクが3株あった。毎年通い5回足を運んだが、開花している姿は見られなかった。ある年「みんな盗掘にあった。」と、小屋の親父さんから連絡があり、がっかりしたことを今でも思い出す。
私は栽培で増やされたベニバナヤマシャクヤクを育てている。一株一株、微妙に赤の色が違う。また、ベニバナヤマシャクヤクの真っ白な個体を福島で最近見ることもできた。知人の話によると九州でも真っ白な花のベニバナヤマシャクヤクが発見されたらしい。
今年の春には斑入り実生を3株分けてもらった。成長に伴い斑の変化がどうなるのか、とても楽しみにしている。
(ベニバナヤマシャクヤク/ボタン科 2022年12月.記)