標高2000mあたりの草原などに生える大形の多年草。大きな袋状の桃紫色の花をつけ、草原の中でもすごく目立つ。絶滅危惧種。
もともと数が少ない植物だったが、私が行ったことのある自生地では全て無くなってしまった。花の色や形が綺麗で人気があり、高値で取り引きされるため、乱獲の対象となったのだ。自生地と呼ばれているところでも、自生品には、まず出会うことはない。
アツモリソウは夏の暑さに弱く、栽培は難しい。そのせいか、身近なところで盗掘の話を聞く。知人が、かつて自宅の庭で見事な大株を作ることに成功した。その株は、1芽を植えてから十数年をかけて60芽くらいまでに育てたもので、本当に見事だった。「ある日根こそぎなくなっており、とても落胆した。」と聞いた。
岳で知り合った人は、アツモリソウの自生地を復活させるために苗を植えていたのだが、盗掘に会い、全て無くなってしまったと嘆いていた。
山野草専門店でたまに見かけるアツモリソウは外国種がほとんどだ。このままでは在来種は絶滅しかねないと危惧している。
(アツモリソウ/ラン科 2022年3月.記)