房総半島や三浦半島、伊豆諸島などに生える多年草。セリ科の大形の植物で、花が咲くと高さ2mくらいになる。近年の健康食ブームに乗り、各地で栽培され食用として店頭で普通に販売されるようになった。
私が薬草園で働き始めた45年前頃は、アシタバは日陰で栽培するのが一般的だったが、試しに日なたに植えてみたところ元気に育った。なので、私は薄暗い日陰や日当たりの良い畑の真ん中など、色々な環境でアシタバを育ててみた。その中でわかったことは、アシタバは水が好きで、日なたでも日陰でも、水気が有ればどんどん成長するということだ。葉が1m位まで大きく成長した株もあった。
アシタバは初冬にタネ蒔きをする。翌年の秋に芽を出して冬を越し、春に若葉を出して初夏に花が咲くと、全草が枯れる株が半分くらいある。図鑑にはアシタバは多年草とあるが、私は2年草のような性質を持つ植物のように思う。
アシタバは丈夫な植物だ。実生で簡単に生えてきて作りやすい。そして若葉は食用になる。おひたしや和え物にして食べてみたところ結構美味しかった。セリ科独特の味がした。
以前、アシタバが好物だというAさんに会ったので食べ方を聞いてみた。Aさんは静岡に住む知人が教えてくれた食べ方だと言って、茎を取り除いて若葉だけをおひたし、天ぷら、浅漬けなどにして食べると話してくれた。私が「茎には甘味があって、茎も好きだ。」と話したところ、Aさんは興味を持ってくれたようで「今までもったいないことをしていた。」と言っていた。Aさんにアシタバの食べ方を教えてくれたという人は、地元静岡でアシタバが沢山採れるので、わざわざ茎は食べないのかもしれないと私は思った。
(アシタバ/セリ科 2022年3月.記)