日本原産のガクアジサイを品種改良した落葉低木。古くから品種改良されてきた植物。シーボルトが好み、彼が江戸時代に日本から持ち出したアジサイはヨーロッパで更に品種改良され、それらの一部が日本に戻ってきたと言われている。かつてアジサイの色は、青・白・赤が主流だったが、今では更に多くの花色があり、咲き方も多様で品種もたくさんある。アジサイは花の時期を長く楽しめるので愛好家が増えている。
アジサイは毎年のように新しい品種が発表されるので、私は花の時期が待ち遠しい。新しい品種は見た目が年々派手になっているように思う。価格も上がり、豪華に見える鉢植えが3,000~4,000円で売られているのを店頭で見かける。だが、生花店の知人の話によると、よく売れている鉢は1,500円前後とのこと。
近年は株に加温し、本来の開花時期よりも早く開花させて、正月用として売られるようになった。更に、戦略的にアジサイブームを作り出して、母の日のプレゼントの花をカーネーションからアジサイに変えようとする動きがある。
本来、アジサイは6月を代表する植物で、私よりも年配者にとっては‘梅雨の花’で‘でんでんむしが付きもの’というイメージが強い。余談だが、そのでんでんむしも今では外来種が多くなり、在来種は絶滅危惧種になってしまった。
品種改良が進み、栽培技術も向上して、現在は生花店で一年中アジサイの花が見られる。それは良いことだが、本来の旬の時期を忘れないでほしい。私は1年を待つ楽しみが好きだ。そして季節感も楽しみたい。
数年前に刺身の飾りにアジサイの葉を使って誤って食べ、中毒を起こしたという事例があった。アジサイは全草を食べることが出来ない植物なので注意してほしい。現在、アジサイ科の中で唯一口にすることができる品種はアマチャ(甘茶)だけとされている。
(アジサイ/アジサイ科 2022年3月.記)