

家の中の害虫を食べてくれるからか、昔から「家に住み着いて家を守る」と言われてきたヤモリ。夜行性のため昼間はあまり目にすることがないが、夕方以降は結構よく見かける。
ニホンヤモリは臆病で、ちょっとした隙間や暗い所が好きである。彼らは日本の木造建築にとてもマッチした生き物だと私は思う。勿論、コンクリートの建物でもちょっとした隙間を探し居ついている。知人の住む高層マンションにも居るそうだ。
私が子供の頃は公園や、神社の建物や境内の古樹などでもよく見かけた。神社の床下に潜ると必ず何匹かのニホンヤモリに会えたものだ。彼らには迷惑だったろうが私は出会ったニホンヤモリを必ず捕まえて、じっくり観察していた。ニホンヤモリはカナヘビやトカゲと違い、鋭いネコ眼をしていた。生息している場所にもよるが寄生虫(ダニ)と思われる小さな虫が彼らの足の指の間や目の周りに付いていたのでそれを取り除いては放していた。多い時には30匹くらいの寄生虫を付けている個体もいた。
私が中学生の頃。兄貴がレース鳩を飼うための小屋を親戚の大工さんと一緒に作った。その時に初めて材木の間にヤモリの卵らしきものが6個あるのを見つけた。水槽に入れて観察をしていたら10日ほどして小さなヤモリが孵った。確認ができて満足したので私はヤモリたちを家の壁に着けた。すると、皆あっという間に散り散りになり消えるようにどこかの隙間に入り込んだ。面白かった。
ある時ふとヤモリはどのくらい生きるのか気になった。今確認できている個体で約5年だ。その子は左足の中指が無い個体である。発見した時に何年経っていたかは定かではないのだが。観察をしていて言えることは、ヤモリのしっぽは切れても再生するがウーパールーパーの様に足の再生までは無さそうであるということだ。
(ニホンヤモリ/ヤモリ科 2024年7月.記)