

“トカゲ”とは有鱗目トカゲ亜目に分類される爬虫類の総称で、コモドオオトカゲもヤモリもカナヘビも“トカゲ”である。ニホントカゲのうち東日本に生息するニホントカゲはヒガシニホントカゲ(学名:Plestiodon finitimus)であり、西日本に生息するニホントカゲとは別種であることが近年わかったそうだ。ここでは私の身近にいるニホントカゲ(たぶんヒガシニホントカゲなのだろう)について書こうと思う。
ヒガシニホントカゲは草原や山地、街中にも普通に居るトカゲで、幼体の尾は青い金属色を帯びてとても綺麗である。成長途中の体色は茶色に変化し茶褐色の縦縞が出て、成体は赤味がかった茶色になる。
春、冬眠から覚めたヒガシニホントカゲが体温を上げるために日光浴をしているのを見かける。大きな石や岩の上、道路や線路などの熱が吸収されていると思われるところによく現れ、体が温まるのをじっと待っている。ヒガシ二ホントカゲは臆病で動くものを見るとすぐに逃げて隠れるのだが、日向ぼっこの最中には運悪く車にひかれて命を落とすものも結構いる。
薬草園には軽石を積み上げて作った一角がある。私はヒガシニホントカゲが軽石の隙間に居るのをよく見かける。この場所を気に入ってくれたようだ。以前、そこで真っ黒いヒガシニホントカゲの個体を見たことがある。鼻の先から尾の先まで全身が真っ黒なのだ。H先生に尋ねたところ非常に珍しい個体とのことだった。最近は彼をあまり見かけなくなったが、またいつか会えるものと思っている。
ヒガシニホントカゲの形態も場所により違いが結構あると私は思っている。残念ながらしっかりと観察をできていないのだが、私がこれまでに出会ってきたヒガシニホントカゲは住む場所により大きさや色の違いの他、姿にも微妙な違いがあった。一番驚いたのは柏市の某所で見た尾が二股に分かれていた個体だ。それは初めて目にする変化であった。これからもいろいろな場所でまだまだ変わった個体に出会えるものと期待している。
(ニホントカゲ/トカゲ科 2024年7月.記)