

名前に“ヘビ”とあるが蛇ではなくトカゲの仲間である。体長20cm前後で体の色が灰色~茶色のトカゲと言えばわかりやすいだろうか。
我が家の庭でも鉢植えの上でニホンカナヘビが日向ぼっこをしている姿をよく見かける。最初は私の姿を見ると逃げていたが、声をかけ続けたからか今では挨拶をする私をジロッと見るだけで逃げることはない。どうやら安心しきっている様子。
庭や鉢の草取りをしているとたまに何かの卵を見つけることがある。産卵現場を見たことはないが、我が家の庭では他のトカゲの姿を見たことはないのでニホンカナヘビの卵に間違いないと思う。ある時、庭で2.5cmほどの卵を6個みつけた。その時には何の卵かわからないまま水槽に入れて観察をしていたのだが、孵ったのは小さな黒いニホンカナヘビであった。
二ホンカナヘビが喧嘩をしているのを見かけることがある。見合って口を大きく開けて左右に振り、取っ組み合いを始める。そしてどこでも構わず咬みつく。どうやら咬みつかれて観念して逃げ出した方の負けのようである。たまに、お互いに咬みついたまま5分経っても決着がつかないことがあった。喧嘩に夢中な時は外敵に対して無防備である。そんな時は簡単に2匹同時に捕まえることができるので私が手を出して離す。捕まえられると彼らは我に返り、すぐに相手を放す。意外と小心者である。「また後でやりな」と言うと、彼らは舌をチョロチョロと出してもの言いたげに私を見るのだ。
我が自宅の庭で姿を確認したニホンカナヘビは6個体いる。しっぽが少し長い個体もいる。観察してみると、彼らは小さな昆虫を食べる。獲物を獲る動作はとても素早く一瞬である。ある時アリの巣のすぐ横に陣取り全く動かない個体がいた。ぱっと見、死んでいるようだったがよく見ると生きていた。目が合い「失礼しました」と声をかけると舌を出しペロリと目を舐めた。じっと動かない彼がいったい何をしているのか興味が湧き観察をしていたら、なんとアリを食べていたのである。アリの種類はオオクロアリ。普通に見られるアリではあるが最近あまり見かけなくなってきたように思う。ニホンカナヘビは食べるときだけ体を少し斜めにして舌を出し、ペロリ。またある時は、パクリ。8匹ほど食べるところを見せてくれた。最後に長い舌を出し顔の両脇をペロリと舐めて去っていった。
(ニホンカナヘビ/カナヘビ科 2024年7月.記)