マメハンミョウはカンタリジンという毒性分を持つ昆虫として知られている。私は知らずに手のひらに乗せてしまって、かなりかゆくなりミミズ腫れになった。私はその程度で済んだが、一緒にいた知人はひどい水泡ができて医者に診てもらう羽目になってしまった。触らないほうが良いみたいだ。
マメハンミョウは数年に一度、8~9月にかけて大発生をすることがある。私が見てきた中で一番すごかったのは7年ほど前の手賀川沿いだ。50mほどの間にざっと見たところ5,000匹以上いるのを確認した。これほどの数はそれまでに会ったことが無かったので、興奮したのを昨日のことのように覚えている。車で通りかかった時に、葉が黒くなっている箇所をふと目にして不思議に思い車を降りた。観察を始めてからは、あっという間に3時間が過ぎた。
手賀川のマメハンミョウはイヌビユが好みなようで、1本に数十匹で群がり、見ている間にザワザワと音を立てて丸坊主にした。すごい食欲である。坊主になると次のイヌビユに移り、また食べ始める。底なしの食欲だ。彼らが通った後はイヌビユの葉が無くなり、そこだけ明るくなる。「お見事!」とつい声が出てしまう。夕方になり辺りがうす暗くなると彼らはイヌビユの下方に移動し、どこかに潜った。この時は、3日続けて会うことができたが、その後はどこを探しても1匹も見つけることができなかった。あれだけいたのが嘘のようだったが、食べ残されたイヌビユの茎だけが彼らがそこにいた証のように立っていた。
(マメハンミョウ/ツチハンミョウ科 2022年3月.記)