

イチモンジセセリはセセリチョウの代表種だ。ガと間違われやすいが、太い体に短い翅という姿が可愛らしいチョウである。体長は2cmほど。国内では北海道から南西諸島まで広い範囲に生息し、都会のど真ん中から高原に至るまで様々な場所で会える。南方系のチョウで夏に北上すると言われている。
当薬草園の訪問者としては顔なじみで、キャンパスで出会えるセセリチョウの中では一番個体数が多いのがイチモンジセセリだ。だが10年くらい前から急に数が減ってきたように思う。何があったのだろうか?
薬草園で作業をしていると塩分を求めてか、汗をかいた腕に良くとまる。私が顔を近づけ「よく来たね」と挨拶をすると、触覚を動かし挨拶を返してくれているかのように首を少し動かした。とても愛嬌があり可愛らしい。イチモンジセセリは臆病で、私がちょっと動くと逃げて、またやって来ては腕にとまるということを繰り返す。
従来は気温が上がった初夏の6月頃から見かけるのだが、2022年には早くも真冬の2月に現れた。私の知る限りイチモンジセセリは成虫越冬をしないので、暖かい日が続いたために間違って羽化してしまったのだろうか?この年は他の虫も変な時期に現れていて、3月には他にアゲハチョウやキアゲハの成虫の姿も確認した。
(イチモンジセセリ/セセリチョウ科 2022年4月.記)