

国内では北海道から九州、隠岐、佐渡、奥尻島、千島などに広く生息する。渓谷沿いや山道、平地でも会うことができる。キャンパスで会えるのは年に数回。会えたらラッキーだ。
夏の朝に薬草園で散水をしていると、キャンパスに訪れたイチモンジチョウが地面に染みた水を吸いうためによく近くまで飛んで来る。夢中で水を飲んでいるので素手で捕まえることができてしまう。驚いた様子をみせるが、すぐに観念しておとなしくなる。私がそっと翅を持って、閉じている足元に指を近づけるとすごい勢いでしがみつき、軽く引っ張っても放さない。かなりの力でしっかりと私の指を掴んでくる。
私は観察をするために捕まえた昆虫を解放する時には必ず「ありがとうね」と話しかけるようにしているのだが、そうするとイチモンジチョウは翌日も現れた。彼らには捕まったという恐怖心や危機感が無いのだろうか?それとも必ず解放してくれると安心しているのだろうか?
水や花のほかに、彼らはたまに私の汗だくのシャツにとまることがある。塩分を求めてくるのだと思う。今年の夏もまた彼らに会えると思うと楽しみだ。
(イチモンジチョウ/セセリチョウ科 2023年8月.記)