

ハラビロカマキリはキャンパスで見かけるカマキリの仲間のなかでも一番多く見かけるカマキリだ。
オオカマキリより少し小柄で体長5~7cmほど。愛嬌のあるカマキリで、よく広いお腹を反り返らせてリズムをとっている。自分より小さければ、動いている物は何にでも飛びつき、危ないと思えばすぐに落ちて逃げる。写真を撮ろうと近寄ればカメラをガン見し、カマを上げて威嚇をする。敵わないと思えばすぐに物陰に隠れるが、それでもダメなら落ちて逃げるのだ。また、たまにハラビロカマキリ同志の戦いを目にすることもある。どうも勝敗は運任せのようだが、体の大きい方に若干分があるようで、負けた方は食べられてしまったりする。モズに狙われた時には彼らはまず逃げられない。
私が小学校5~6年生の頃。ハラビロカマキリの孵化を観察していたところ、孵化後ある程度体が固まったハラビロカマキリが後から孵化した兄弟を食べてしまった。これが自然のことなのかもしれないが、私はかなりのショックを受けた。
キャンパスにはよくコスズメバチが来る。ある日、何かの枝につかまったまま頭が無くなった状態のハラビロカマキリに出会った。私はどうすることもできずに見ていた。何が原因か探っていると、コスズメバチが現れハラビロカマキリのカマと首の一部を噛み切り、肉団子にして持ち去った。そのハラビロカマキリはコスズメバチに襲われたのだ。仕事があるので私はその場を去ったが、ずっと気になっていた。コスズメバチがその後何回やって来たのかはわらないが、夕方に見に行くとハラビロカマキリは腹部と足4本だけになっていた。それでもまだしっかりと枝につかまって動いていた。あれから5時間は過ぎているのに、すごい。コスズメバチが持ち去る部位の順番を決めて運んでいるのかどうかはわからないが、すごい現場を目の当たりにしてしまった。
(ハラビロカマキリ/カマキリ科 2022年2月.記)