花に集まる昆虫でコガネムシの仲間。国内では17種までは確認されていると聞く。
ハナムグリの幼虫はカブトムシの幼虫に比べて小さいが、姿はよく似ている。そして、みな似ているので幼虫の段階で種を見分けるのはすごく難しい。たまに腹を上にして背中で移動している幼虫を見かけるが、どうなっているのかわからない。面白いやつだ。農作物の根を食べるので農家さんにとっては害虫であり天敵である。
ハナムグリの成虫は体色に個体差がある。一番多く見かけるのは深緑色のコアオハナムグリという小形の種だ。色の濃い個体や薄い個体がいる。ほかに赤紫色や、赤紫色と緑色の中間色など、色の変化に富むハナムグリだ。さらに、前羽に白い斑点が有る個体がいるのだが、まったく無い個体もいる。あまりにも多様なので、ハナムグリに詳しい知人Aさんに私が撮ったハナムグリの写真を見てもらい尋ねたところ、みな同じ“コアオハナムグリ”だった。見た目の違いはすべて個体差とのこと。本当に多様だ。体長も小さなものから、その2倍ほどの大きなものまで様々で、本当に同じ種なのか私には判別が難しい。昆虫全般にいえることだが、個体間でそれぞれ微妙に違いがあるので、見れば見るほどわからなくなる。
ハナムグリは種によって好む花が違い、互いに住み分けをしているときいたが、私が見てきた限りでは必ずしもそうではないように思う。彼らは花蜜や花粉があればそこへやってくるように思う。花が咲いていればやって来るのだ。
知人のAさんによると、昆虫の世界は植物や動物に比べてまだまだ未知の部分が多いという。だからなのか、ちょっと変わった個体に出会うと、つい「新種なのではないか」と思ってしまう。はやく新しい情報が出ることを期待したい。
(ハナムグリ/コウチュウ目ハナムグリ亜科 2022年2月.記)