

千葉県のとある場所でオシドリが営巣している。仮にA池としよう。観察を始めてから今年で16年になる。私は以前、栃木県の金精峠の2か所の池で営巣するペアを6組確認したことがあった。その時に「ピョピョピイ」とか「ピュルルルル」というオシドリ独特の小鳥の様な鳴き声を聞いた。特徴のある鳴き声なので、すぐに聞き分けられるようになった。なので、A池でその鳴き声を聞いてオシドリがいると気づいた。
A池でオシドリのヒナらしき個体を初めて確認できたのは2016年6月。彼らは警戒心が強く、なかなかヒナを見せてくれないのだが、その後は若鳥を何度か見ることができた。
野鳥の専門家のTさんによると、千葉県内でも何か所かオシドリの営巣地が報告がされているそうなのだが、私が見たA池では初めてとのことだった。そこでは秋になると、多い時には300羽を超えるオシドリが見られることもあった。私は1年を通してA池の営巣地に通い、警戒心の強い彼らを驚かせないように耳を澄ましてみることを繰り返した。鳴き声が聞こえるとホッとした。
オシドリの繁殖期は11月~3月頃。オスの冬羽は特に色鮮やかになりとても目を引く。だが、繁殖期が過ぎると遠目では雌雄の区別をつけづらい。ただ、オスはやたらと騒がしい。
彼らは人の気配を感じるとすぐに物陰に隠れる。観察をしていると、逆に私が観察をされる。私が大きく動くとすぐに仲間とともに素早くどこかに隠れる。また、ハヤブサやトビが来るたびに騒いですぐに隠れる。しばらくしてオスが鳴きだすと、それを合図に徐々に仲間が姿を見せはじめる。
私がしょっちゅう通っていたら彼らも私を覚えてくれたようで、観察した結果、私を無害と判断したのか警戒を解いて姿を見せてくれるようになった。一斉に飛ぶところは見事で、団子状になり羽音が実に圧巻だ。その時撮った映像と写真を紹介する。
(オシドリ/カモ科 2022年2月.記)