

アオサギは大形の白くないサギ。大きいものでは全長90cmを越える。背中側と翼がグレー。風切り羽の一部が青黒い。50年ほど前には私がよく行く手賀沼でもあまり目にすることができなかった鳥だ。
中学2年生の頃、私はこの鳥を図鑑で知って「本物を見たい!」とよく親父に言っていた。当時、仕事で漁をしていた叔父がそれを知って、サヨリ漁の終わり頃の時期に私をアオサギが見られる場所へ連れて行ってくれた。そこは利根川下流の黒部川合流付近にある田んぼの畔で、そばには潮止水門があった。初めて見るアオサギは60羽もの大集団で私は鳥肌が立つほどに凄く感動した。彼らは秋になるとそこに集まると叔父が教えてくれた。その畔では昼間、アオサギはじっとしていた。常時50羽ほどがいたと思う。エサとなる魚が潮止水門の浅くなる魚道に集まるため獲り易かったのだろう。彼らはそれを狙っていたのだ。多い時には100羽を超えるアオサギが集まっていて実に壮観だった。その後、畔のアオサギは減り、代わりに手賀沼など利根川上流でも見かけるようになった。環境の変化で水門近くの魚が減って上流に移動したのではないかと思う。
アオサギは悪食で、これまで私が見てきた限りでは動いていて口に入るものは何でも食べていたように思う。魚やザリガニが主食のようだったが、ある時、ハクセキレイの騒がしい声が聞こえたので行ってみるとアオサギがヒナを咥えていたことがあった。ハクセキレイの親たちは2羽で自分の何十倍もの大きさのアオサギに体当たりを繰り返していた。結局、助けることはできずアオサギはヒナを飲み込み飛び去っていった。
またある時は、遠くでアオサギが何かをついばみ地面に叩きつけているのを見た。急いで近づいてみるとついばまれていたのは仔猫であった。そばに段ボールが置いてあり、中には生まれて間もない、まだ目の開いていない仔猫が3匹。みな冷たくなっていた。捨てられていたのをアオサギが見つけ、エサとして食べていたのだ。あまりにもショックで、私は捨てた人を許せない感情でいっぱいになった。アオサギの餌食にならなかった仔猫たちは埋葬した。ここ数年、仔猫や仔犬が捨てられているのをよく見かける。気づいた時には警察に通報しているが、残念ながら何の変化もない。
(アオサギ/サギ科 2022年3月.記)