キャンパスの植物たち

東邦大学名誉教授 吉崎 誠

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花壇の植物達

花壇の役割

 東邦大学習志野キャンパスの校門を入って中央道路の両側に、花壇があります。

 キャンパス内に鉄筋コンクリートの建物が建設されるごとに建物の周りの表土がはぎ取られて芝生が貼られます。そこに生育していた野生の植物達は根こそぎ消失していまうのです。
  このように、キャンパスに自生する野草達が少なくなると、私達が野外の植物達と直接ふれあう機会も当然のことに少なくなってしまいます。そのために、時の常務理事の千木良さんが野草とのふれあいの場として建設されたのがこの花壇です。自然を大切に、生物教育の基礎勉強のためにと作られた画期的な教育を目的とした花壇なのです。

 ですから、ここにはおもに野草が植えられています。中央道路沿い東側花壇には、キャンパスに自生していたものとかつてキャンパス内の花壇に植えられていたものが移植され、それに植物分類学の講義や実習に必要なものが加えられてきました。1992年4月には、この東側花壇だけで150種もの植物を定着させることができました。

  ところが、1992年夏から1993年3月まで、東側歩道の地下に電線を埋設する工事が行われました。その間ほとんど花壇の手入れができませんでした。あるものは花壇そのものが工事区間に入ってしまい、掘り上げられて移植されたものもありました。工事が終って移植させられていたものが元の場所にもどされたのですが、実際に帰ってきて残った植物は100種ほどになってしまいました。特にキャンパス内に古くからあった植物達がたくさん姿を消してしまっていました。

 東邦大学理学部生物学科は「自然を学び、自然を守る」ことをモットーとしています。その、最も基礎的な足下の自然がキャンパスの植物達ではないでしょうか。「遠くの自然よりも、近くの自然」これが私の信念です。花壇の中には一見、雑草におおわれているところもあります。雑草をとったり、時々は植えかえもしなければなりません。みなさんが花壇の植物を訪ねた時には、別な植物が植えられている所もあるでしょう。でも、ここは植物と直接に話しができる貴重な場所なのです。

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