キャンパスの植物たち

東邦大学名誉教授  吉崎 誠

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キャンパスの植物達

理学部II号館左手

理学部II号館に向かって左側手前のコーナーにはマメ科のシロヤマフジ、モクレン科のタイザンボクコブシが、奧のコーナーにはニガキ科のシンジュ、ミズキ科のアメリカハナミズキ、トウダイグサ科のアカメガシワ、バラ科のビワとヒノキ科のアスナロが見られます。シンジュの根方には葉の大きなユリ科のハランが群生しています。

  シンジュは50pをこえる大きな羽状複葉をもち、複葉の最末端の小葉が左右非相称となることで、他の種と区別できます。また、腺体を持つことも特徴です。落葉性の高木で、秋の紅葉の仲間入りはできない。霜が降りるといっせいに葉を落としてしまいます。シンジュほど大きくはならないけれども、同じく大きな奇数複葉の葉をもつミツバウツギ科のゴンズイがキャンパスにはよく生えていました。小葉のへりにきょ歯があり、なによりも赤い果実が目立つ木でした。

 シンジュの木の根本に、建物に密着して高さ1mほどの幅の広い葉を持ったハランがあります。ユリ科の植物です。広く張りがあり、縮れることがない葉はカミソリ刃を入れても破れないことから、日本料理の板前さんが繊細な葉切りをする材料とします。花は土の中に埋まって咲きます。ピンポン玉大の丸い花が地表すれすれに開きます。花粉の媒介はナメクジがやるそうです。

  アカメガシワは新芽が赤く、大きな葉をもつことからこの名があります。大きな葉を展開するには長い葉柄が必要となるし、花は小さくとも大きな花序が必要となります。ビワは常緑の広葉樹です。葉には毛が密生しています。花は冬に咲きます。毛深い褐色の花序をかき分けるように5弁の白花を咲かせ、綿毛にまみれて種子は育ち、春の連休のころからしだいに成熟しはじめ、橙色の甘い果実を実らせます。花托が発達して花肉となります。新鮮なビワの香りと、さっぱりした甘さは千葉の味です。果実の割に大きな種子が入っています。でも、種子が小さいと果肉も薄いから、種なしビワはできません。買ってきたビワの実を食べた後は、種子を捨てることなく播いてみましょう。直ぐに播くと必ず芽生えてきます。早いと3年目、5年目くらいからさかんに果実を実らせるようになります。
サワラヒノキアスナロはわが国の代表的な有用材です。なかでも、アスナロヒバともよばれて柱、長押、敷居、桟、板などあらゆる所に使われます。あしたはヒノキになろうというのがアスナロである、努力の木であるとならったものです。実はこの小さな木が、理学部U号館建設時の記念樹なのです。もっと大きくなると思っていたのですが、まわりの木が大きくなってすっかり日陰になってしまいました。生き延びて巨樹になって欲しいと希っています。

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▲タイザンボク

▲アカメガシワ

▲アメリカハナミズキ

▲アスナロ

▲ゴンズイ

▲サワラ

▲ヒノキ

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