キャンパスの植物たち

東邦大学名誉教授  吉崎 誠

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キャンパスの植物達

守衛所付近

守衛室北側

守衛所の北側にはバラ科のオオシマザクラがあります。葉には柄があり、互生し、広い卵形〜楕円形で、先端はとがり、縁にはきょ歯があります。葉の表は濃い緑色です。長さ10〜20p、幅6〜8pは、他のサクラの仲間に比べると大きい。4月に白い花をつけ、花が終わった頃に大ぶりの葉をつんで塩につけておきます。アンコをピンクの餅皮でつつみ、塩漬けしたオオシマザクラの葉で包んだのが桜餅です。

 守衛所の裏側にまわると、数本の若いクロマツがあります。見たところ、クロマツのようですが、実はアイノコマツです。道路に面したフェンスの内側にある並木はヒノキ科のコノテガシワです。葉は小さな鱗片で、葉をつける枝は手のひらをひろげたように広がり、表と裏の区別がわかりません。球果は褐色で鱗片は固く、成熟すると角が広く開いて中の種子を外に押し出します。種子は黒褐色で丸く、外から見えます。

 守衛所の横を通って中央道路に出ましょう。中央道路の両側に並木があります。中央道路が建設された時に、ここにはトチノキ科のベニバナトチノキが植えられました。30年もたったらベニバナトチノキは大きく育って、太く堂々たる並木ができて東邦大学のシンボルになるに違いないと期待されて植えられました。春には大きな円錐花序に紅色の大きな花を次々に咲かせてとても美しく、誰もが見ほれる東邦大学の代表的な樹です。今年はまだ咲いていませんが、枝の先を見るともう小さな蕾が穂になっていることがわかります。ベニバナトチノキアメリカアカバナトチノキと、マロニエのかけあわせによってできた異数倍数性です。花の色が木によって濃い赤だったり、少し薄い赤であったりと安定した色ではありませんが、咲き始めると次々と咲いて、およそ1ケ月も花を楽しむことができます。

 ところが、夏休みが終わると葉のへりが褐色に枯れはじめます。11月の落葉まで、褐色の枯れた葉が木についているのが見苦しい-----大きな葉がバサバサと落ちて掃除が大変だということから、ベニバナトチノキの半数をケヤキに植え替えられてしまったのです。1本おきにベニバナトチノキケヤキに植え替えるということでしたが、薬学部はケヤキを嫌い、植え替えを拒否したのです。結局、理学部側の並木だけがケヤキに植え替えられてしまったのです。せっかく植え替えたケヤキですが、夏休みが終わると、葉のへりが褐色に枯れてしまい見苦しい状態になってしまいます。落ちる葉の数も多いことから、ケヤキへの植え替えは大失敗でした。このような植え替えについても生物学科の教員の誰かに相談があったわけではなく、植物にも、自然保護にも知識の乏しい人達によって決められてしまうのが現実です。

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▲オオシマザクラ

▲コノテガシワ

▲ベニバナトチノキ

▲ケヤキ

 

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