掲載:2010年10月13日

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ベーリング海における底延縄漁業によるアホウドリの‘混獲’

 2010年の8月27日と9月14日に、ベーリング海で底延縄漁業によってアホウドリが‘混獲’されました(アメリカ魚類野生生物局による)。これら2羽とも鳥島から巣立った鳥で、ついていた足環からそれぞれの年齢は、産卵から数えて約7歳10ヶ月と3歳10ヶ月であることがわかりました。

 1998年9月下旬にベーリング海で2羽のアホウドリがアメリカの底延縄漁業によって混獲され、その年の7月上旬にベーリング海でロシアのサケ流し網で1羽が混獲されたあと、混獲回避措置(鳥避けのライン)を採用することが漁船に義務づけられたため、10年以上にわたってアメリカでは混獲の報告がありませんでした。

 また、2003年8月末にロシアの底延縄漁業で1羽が混獲されたあと、アメリカの延縄漁業者はロシアの延縄漁業者に混獲回避措置の導入を指導しました。その結果、以来ロシアからもずっと混獲の報告がなく、アラスカ海域でアホウドリが延縄漁業の犠牲になる事故がほとんどなくなったと考えられてきました。

 しかし、2010年8月末から9月半ばにあいついで2羽が犠牲になったことから、これらの混獲事故の生物海洋学的背景や生態学的原因を解明し(今年は海洋学的になにか特異な年で、その結果アホウドリの採食行動に変化が起こったのかどうか、など)、来シーズン以降、同様の混獲を回避する方策を検討することが急務になっています。

 

参考:

アホウドリの渡り

緊急の問題 苦境に立つアホウドリ類

延縄漁(はえなわりょう)について