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東邦大学名誉教授
長谷川 博

 アホウドリ 〜再生への離陸〜

東邦大学医療センター大森病院にて展示を行います

開催概要

開催場所:大森病院 3号館〜5号館 地下通路 『ガレリア』

開催期間:2008年4月1日〜4月30日

展示内容:写真パネル、デコイと模擬卵、 アホウドリの飛翔姿(実物大)を 示す垂幕

アホウドリ先生からのメッセージ

羽毛採取のために数100万羽も乱獲され、一時「絶滅」したと考えられたアホウドリは、いま“再生への離陸”を始めている。この種の主繁殖地である伊豆諸島鳥島では、従来コロニーの砂防・保全管理作業によって、繁殖成功率を60〜70%に引き上げることに成功し、最近では200羽以上のひなが巣立つようになった。

 また、地滑りの恐れのない、島の北西斜面にデコイと音声再生装置を設置して繁殖年齢前の若鳥を誘引し、新コロニーを形成する「デコイ作戦」にも2004‐05年繁殖期に成功し、2007年には35組のつがいが産卵した。この新コロニーには従来コロニーから若鳥が数多く移入し、そこでの繁殖成功率が75〜80%と高いことから、繁殖つがいの数は、今後、急速に増加するにちがいない。  

 鳥島集団の繁殖つがい数は2007年-08年繁殖期に382組で、この春には約250羽のひなが育ち、総個体数はおよそ2100羽に回復するだろう。この集団は年率7.5%で増加しているので(9.5年で2倍)、2011年に500組、2020年には約1000組に回復する。  

 第2繁殖地のある尖閣諸島では、約75〜80組のつがいが繁殖し、総個体数は400〜450羽と推定される。この繁殖集団は、数の増加にともない、営巣区域を南小島の断崖中段の狭い岩棚から山頂部のなだらかな斜面へ、さらに隣の北小島へと拡大した。  

 鳥島火山の噴火にそなえて、かつての繁殖地の一つで、非火山の安全な島である小笠原諸島聟島列島聟島に第3繁殖地を形成する保護事業が、国際協力によって、今年2月に始まった。2020〜25年頃それに成功し、アホウドリは地球上に再生するだろう。