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東邦大学名誉教授
長谷川 博

講演のお知らせ 新刊書の紹介など

更新:2017年1月16日

 『尖閣研究:高良学術調査団資料集』  『尖閣研究:尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告』

尖閣諸島文献資料編纂会(編)『尖閣研究:高良学術調査団資料集』(上)6+388頁、(下)6+392頁.2007年10月刊.
データム・レキオス/國吉真古(沖縄県那覇市大道40番地.FAX.:098-884-1958).上・下セット 本体定価4800円.

尖閣諸島文献資料編纂会(編)『尖閣研究:尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告』
「沖縄県における戦前-日本復帰(1972年)の動き 2009年」384頁.2010年8月刊(第2刷2016年1月刊)
「沖縄県の漁業関係者に対する聞き取り調査 2012年」426頁.2013年9月刊.
「沖縄県の漁業関係者に対する聞き取り調査 2014年」454頁.2015年9月刊.
尖閣諸島文献資料編纂会発行(沖縄県那覇市大道40番地.FAX.:098-884-1958)
3分冊セット 定価6000円(税込み)

 尖閣諸島に関するさまざまな歴史資料は、南方同胞援護会の機関誌『季刊沖縄』の第56号「特集尖閣列島」(1971年3月)とその最終号(第63号/第61・62号合併号)「特集尖閣列島第2集」(1972年12月)の「資料編」にまとめられていた。今回さらに、尖閣諸島文献資料編纂会(会長・新納義馬)によるたいへんな努力の結果、1950年4月から1968年7月に高良鉄夫先生(元琉球大学学長)によって率いられた5次にわたる尖閣諸島学術調査の記録と報告が「高良学術調査団資料集」として集成された。これには、多数の写真が掲載されていて、当時の尖閣諸島の自然や生物を詳しく知ることができる。

 高良先生を尖閣諸島学術調査に駆り立てた目的の一つはオキノタユウ(アホウドリ)の生息確認であった。結局、高良先生は残念ながらその生息を確認することはできなかったが、これらの学術調査を引き継いだ琉球大学の池原貞雄教授を団長とする尖閣列島学術調査団が、1971年4月に南小島で12羽、北小島で2羽(団員だった新納義馬さんが撮影した写真から、後に判明した)の生存を確認した。現在、尖閣諸島への上陸は日本国政府によって禁止されていて、一切の調査が不可能な状況にある。もし、人間による影響がほとんどない環境で、鳥島集団とほぼ同じ増加率で尖閣諸島のオキノタユウ集団が順調に増えているとすれば、現在、繁殖つがい数はおよそ150組、総個体数は700-800羽になっていると推測される。また、集団遺伝学的研究の結果、尖閣諸島集団は鳥島集団とは遺伝的に異なり、別々の生物集団として取り扱われなければならないことが判明した。この集団の生息現状を早期に調査し、その結果にもとづいて効果的な保護対策を実行する必要がある。

 もうひとつの「尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告」(3分冊)には、古賀辰四郎 による尖閣諸島開拓の諸資料(第1分冊)や第二次世界大戦以降の尖閣諸島海域における漁業活動(第2、3分冊)、1939年の農林省による尖閣諸島調査など(第3分冊)が掲載されています。

 これらの貴重な記録を編纂・集成された尖閣諸島文献資料編纂会のみなさまのご努力に心から感謝を申し上げます。

 

制作に協力したテレビ番組のお知らせ NHK BSプレミアム『池内博之の漂流アドベンチャー:黒潮に乗って奇跡の島へ』 ※終了しました

[ 再放送決定 ] 7月に放送されたテレビ番組 『池内博之の漂流アドベンチャー:黒潮に乗って奇跡の島へ』 の再放送が決定しました! ※終了しました

今年の5月上旬、鳥島滞在中、つぎの番組の制作に協力しました。オキノタユウの現状も紹介されます。


NHK BSプレミアム
<再放送>2016年8月21日(日)15時30分-17時00分 <本放送>2016年7月18日(月・「海の日」)21時00分-22時30分
池内博之の漂流アドベンチャー:黒潮に乗って奇跡の島へ』  番組WEBサイト


 江戸時代の漂流記に触発されて、俳優の池内博之さんは四国・高知から黒潮に乗って、絶海の孤島を目指しました。たどり着いたのは無人島・鳥島。そこは、大型の海鳥・オキノタユウの繁殖地で、かつて漂流者はこの鳥を食べて生き延びました。真水も出ない火山島で、漂流者は10年、20年にも及ぶ困難な生活に耐え、ついに流木で船をつくって島からの脱出し、ふるさとへの生還を果たしました。
 しかし、この鳥は明治期に羽毛採取のために乱獲され、一時、絶滅したと考えられました。20世紀の半ばに、この鳥は再発見され、その後の保護活動が実って、現在、再生への道を歩んでいます。
 南海のごく小さなこの無人島は、数々のドラマの舞台となりました。池内さんは、それらの人々や出来事に想いを馳せます。

 

『漂流の島:江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』

 探検家の橋大輔さんに、かつて勤務していた東邦大学理学部の研究室ではじめて会ったのは、2009年7月28日だった。6月中旬から半月間、一人で鳥島に行ってオキノタユウの従来コロニーで保全管理工 事の補完作業を行ない、つづいて月末から翌月初旬にかけて那須高原で野外生態学実習を担当した後、ようやく一息ついたときだった。暑かったので、ビールを飲みながら話すのがよいと思い、そのつまみ に、八丈島から持ち帰って冷蔵庫に保存していたアオムロアジの「くさや」を焼いた。探検家なら何でも食べるはずで、珍味にはとくに好奇心をもっているだろうと思ったのだが、この本を読んで、ぼくに は好物なのだが、橋さんは苦手だったことを知った。申し訳ないことをした。
 そのときの話は、江戸期に鳥島に漂着した人々が過ごした洞穴を探し出し、考古学的調査をしたいということだった。ぼくは、オキノタユウの保護研究のために、文化庁・東京都から天然記念物鳥島(天 然保護区域)の現状変更の許可を受けて、鳥島に上陸し、調査と保全作業をつづけてきた。その許可条件以外のことは、一切しなかった。そのため、漂流民の洞穴についてはありきたりの情報しかもってい なかった。
 その年の5月、鳥島のオキノタユウの巣立ちひな数は300羽を超し、総個体数は推定で2,400羽近くになっていた。この個体数の回復ぶりを考えれば、鳥たちが島を離れている非繁殖期(6月-9月)なら影響 がないから、鳥島に立ち入って現地調査をすることが許可されるかもしれないと推測し、まず東京都の担当者に相談すればよい、と助言した。ただ、漂流民が生活したという洞穴は1939年の噴火にともなう 溶岩流の下に埋没してしまったと聞いていたから、埋蔵文化財を探知する地中ソナーや溶岩に細い孔を明けるドリル、狭い隙間をのぞくファイバー・スコープなどを用いて、まず予備調査をする必要がある だろうと提案した。
 この本は、それから7年間にわたる橋さんの探求の記録である。そして、かれがたどり着いた結論に対する評価は読者自身が下すとよいだろう。
 ちょっと気になった点は、ジョン万次郎という通称がよく出てくること。アメリカ滞在中には“ジョン・マン”と自ら名乗ったが、帰国してからはそのようなことはない。中濱万次郎という正しい名前を使うべきではないか。また、ぼくが鳥島滞在時に利用している避難小屋を「現在では別名、長谷川小屋と呼ばれている」と記述しているが、ぼくは小屋に看板を掲げているわけでもないし、私物を小屋のなかに留置してもいないし(もしものために、残ったペットボトル入りの水や少しの缶詰は置く)、小屋を自分の所有物のように表現したことは一度だってない。まるで私物化しているような誤った印象を与える表現は慎んでほしい。


 橋 大輔・著 『漂流の島:江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』 352頁.草思社.2016年5月刊.1,800円.

 

『ぼくはアホウドリの親になる:写真記 ひな70羽引っこし 大作戦』

 小笠原諸島聟島列島はオキノタユウのかつての繁殖地の一つです。そこにこの鳥の繁殖地を復元するため、2008年から5年間にわたって伊豆諸島鳥島からひなが再導入されました。運ばれたひなは、人の手で、巣立ちまで3ヶ月間にわたって野外飼育され、海に飛び立ちました。やがて、かれらが成長して、生まれた場所にではなく、巣立った場所にもどり、住み着いて新しい繁殖地を形成するでしょう。この大計画に2011年からボランティアとして協力した水中・自然写真家の南俊夫さんは、これを画像に記録する必要性を認識し、ひなの野外飼育に取り組む人々の活動を写真に撮り続けました。そして、たくさんの写真を見ながら、理解を深め、楽しく読める本(児童書)ができあがりました。そんなに強い思い入れのある大切な鳥を“アホウドリ”と呼べますか? もっとふさわしい名前で呼びましょうよ。


 南 俊夫・著 山階鳥類研究所・監修 『ぼくはアホウドリの親になる:写真記 ひな70羽引っこし大作戦』 162頁.偕成社.2015年11月刊.

 

海鳥シンポジウム『50羽からの挑戦:アホウドリ先生に学ぶこれからの海洋保全』

日 時 : 2016年1月16日(土) 13時30分 - 16時30分(開場13時)
会 場 : 立教大学 マキムホール(15号館)MB01教室
申し込み: 不要
参加費 : 無料

共 催 : 環境省・立教大学
協 力 : バードライフ・インターナショナル東京・ 公益財団法人 日本野鳥の会

詳細情報: 下記PDFをダウンロードしてご覧ください。
 50羽からの挑戦:アホウドリ先生に学ぶこれからの海洋保全』 (799KB)


『アホウドリを追った日本人:一攫千金の夢と南洋進出』

 著者の平岡昭利さんは、2012年に『アホウドリと「帝国」日本の拡大:南洋の島々への進出から侵略へ』(明石書店)を出版しました。しかし、それは専門的学術書であるため、高価で(6000円)、一般の人の手には届きにくかったにちがいありません。今回、前著の精髄が読みやすく、手にとりやすい岩波新書として出版されました。
 19世紀の末から、日本の鳥類は人間による大迫害を受け、羽毛を採るために驚くほどというよりは、恐ろしいほど大量に捕獲されました。とくに、良質の羽毛をたくさん身につけ、数十万羽も密集し、しかも捕獲が容易だった大型海鳥アホウドリは無人島の開拓業者に巨富をもたらしました。その成功に刺激されて、一攫千金を狙う人がつぎつぎに南洋の無人島を目指しました。この“バード・ラッシュ”の歴史と社会経済的な背景を詳細に記述し、日本の近代化の過程で起こった“陰”の部分をえぐり出します。なお、この本のアホウドリはこの仲間の総称で、北太平洋に生息する3種を示し、特定の種を表してはいません。
 平岡さんの専攻は人文地理学です。別のコーナーで取り上げた本の著者、Robin W. Doughtyさんも地理学・環境学者です。ぼくは、大学時代に人文地理学の講義を取りましたが、その学問的方法をなかなか理解できませんでした。これらの本を読んで、人文地理学の方法について少し理解が深まったという気がしました。


 平岡昭利・著 『アホウドリを追った日本人:一攫千金の夢と南洋進出』 4+214頁.岩波新書1357.2015年3月刊.

 

『オキノタユウの島で:無人島滞在“アホウドリ”調査日誌』

 東邦大学理学部に在職した最終年度、第111回鳥島調査の時(2013年4月初旬から5月上旬)、鳥島にパーソナル・コンピューターを持ち込み、毎晩約2時間をかけて、その日の生活や調査活動を記録しました。その第一の理由は、「無人島滞在中、どんな生活をしているのですか?」と、よく質問されたからです。 
 第二は、野外調査の現場を多くの人に知ってほしいと思うからです。野外研究で得られた一つ一つの数字はそれぞれ相当な努力の結果なのです。例えば、巣立ちひな数を得るためには、数日間にわたる足環標識作業が必要です(一人で行う場合)。繁殖つがい数も、500組を超えた最近では約10日間のていねいな観察が必要です。そして、数年間から10年間の数字の変化から保護の課題を見極め、保護計画を立案して実行し、その結果を評価することができるのです。
 本の題名をオキノタユウとしました。ぼくはこの鳥と40年近くつきあってきて、もう“アホウドリ”と呼びたくなくなり、以前から主張している、それよりもふさわしい「オキノタユウ」という名前に変えました。この改称の理由を最初に述べました。そして、第1章で、ぼくが取り組んできた鳥島での保護研究の歴史を短くまとめ、第2章は調査日誌で、第3章ではオキノタユウの保全のためのさまざまな課題を考察し、この種の再生を展望しました。


 長谷川博・著 『オキノタユウの島で:無人島滞在“アホウドリ”調査日誌』 234+12頁.偕成社.2015年5月刊.

 

公開シンポジウム『希少鳥類の未来を考える』 ※終了しました

ぼくは2014年3月末で東邦大学理学部を定年退職します。これに関連して、つぎのシンポジウムが開催されます。

テーマ : 「希少鳥類の未来を考える」
日 時 : 2014年3月8日(土)13時00分-17時15分
会 場 : 東邦大学習志野キャンパス・薬学部C館101教室
参加費 : 無料

詳細は下記ページをご覧ください。
  東邦大学 理学部 「理学部 長谷川博先生 退職記念【講演会・パーティー】のお知らせ」


オキノタユウ・2014年版カレンダー『オキノタユウ:近づく再生』発行

オキノタユウを主題にした2014年版カレンダー「オキノタユウ:近づく再生」が(株)海洋工学研究所から発行されました。B5判ノートサイズで、14ページです。


 鳥島集団の総個体数が1,000羽を超えた1999年版のカレンダーのタイトルは「アホウドリ:復活の翼」、新コロニーへ確立の期待が高まった2003年版は「アホウドリ:復活への助走」、新コロニーがついに確立した2006年版は「アホウドリ:復活の風」でした。それから8年経過し、今や総個体数は3,000羽を超え、新コロニーは急速に成長して、100組以上のつがいが繁殖するようになりました。このまま順調に行けば、6年後の2019年には5,000羽に到達し、2020年には鳥島全体で1,000組が繁殖するようになると予想されます。その期待をこめてタイトルを「オキノタユウ:近づく再生」としました。


 カレンダーについての詳細は下記サイトへ
  : 株式会社海洋工学研究所 http://www.ocean-eng.co.jp/HPJ/indexJ.html

 

『アホウドリと「帝国」日本の拡大−南洋の島々への進出から侵略へ』

1880年代末から羽毛採取のためにアホウドリは大量捕獲され始めました。その時代の政治や経済について、きわめて詳細な歴史地理学的研究の成果が出版されました。


 平岡 昭利(著).2012.『アホウドリと「帝国」日本の拡大−南洋の島々への進出から侵略へ』282pp. 明石書店、東京 定価6300円 (本体価格6000円)

 その構成は、第I部/アホウドリと日本人の無人島進出、第II部/バード・ラッシュと日本人の太平洋進出、第III部/バード・ラッシュから無人島開拓へ:大東諸島とその後の展開、第IV部/南洋の島々への進出から侵略へ:アホウドリからグアノ・リン鉱採掘へ、です。
 ぼくが、鳥島でオキノタユウの保護研究に着手して間もない1980年前後、いずれはこの鳥の乱獲について、歴史的背景を研究しなければならないと考えました。ぼくが行なうよりもはるかに詳細で専門的研究がなされたことを非常にうれしく思います。

 

『アホウドリに夢中』

デコイと録音音声再生・放送によって、鳥島の北西側にあるなだらかで安定した斜面に新コロニーを形成する“デコイ作戦”が、多くの人々の努力と協力によって、2005年に成功しました。これを記録した新しい本が、出版されました。

  • 長谷川 博・著 『アホウドリに夢中』 :182頁.新日本出版社.東京 定価1575円 (本体価格1500円)

『復活の風に乗るアホウドリ』

最近の研究発表が雑誌に掲載されました。

長谷川 博. 2004. 復活の風に乗るアホウドリ.「エコソフィア」第13号74-81頁.出版社:(株)昭和堂、電話:075-706-8818、定価:1,500円+税

『鳥島漂着物語:18世紀庶民の無人島体験』

 小林 郁(著)『鳥島漂着物語:18世紀庶民の無人島体験』294pp. 成山堂書店、東京(定価2400円)

 鳥島についての新著 『鳥島漂着物語:18世紀庶民の無人島体験』 が、2003年6月8日に刊行された。
 江戸時代中期以降、数多くの舟人が遭難して鳥島に漂着し、あるものはその島でアホウドリを食べて生命をつなぎ、奇跡的に本土に生還した。
  それらの記録をたんねんにたどり、漂流者の生活を再現した。
 冒頭に、明治20年に鳥島開拓のために最初に移住した玉置半右衛門の鳥島在留日誌を紹介している。

 

新刊『50羽から5000羽へ 〜アホウドリの完全復活をめざして』

 これまで25年以上にわたって書いてきたさまざまな文章から、思考と行動の軌跡がわかるように選択され、編集された本が2003年2月にどうぶつ社から出版された。 

『50羽から5000羽へ 〜アホウドリの完全復活をめざして』
長谷川 博著  どうぶつ社
本体価格 1500円  222P