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東邦大学 理学部 生物学科
長谷川 博

アホウドリ先生

更新:2012年2月28日

長谷川博先生の紹介


1)現在の所属

東邦大学 理学部 生物学教室(動物生態学研究室)
     274-8510 千葉県 船橋市 三山 2-2-1
     電話・ファクス:047-472-5236

緊急連絡先

【鳥島での緊急連絡先】
衛星電話 090-3022-3631(通話時間:18時半から20時ころまで)

2)略歴

1948年10月3日 静岡県安倍郡大河内村(現静岡市)生まれ

1967年 3月 静岡県立静岡高等学校卒業

1971年 3月 京都大学農学部農林生物学科卒業(昆虫学・個体群生態学)

1973年 3月 京都大学大学院理学研究科修士課程修了(動物学専攻)

1976年 3月 京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学(動物生態学)

1976年 4月 日本学術振興会奨励研究員

1977年 4月 東邦大学理学部助手(海洋生物学研究室)

1986年 3月   同 講師

1997年 1月   同 助教授(動物生態学研究室)

2004年 4月   同 教授(動物生態学研究室)

2008年 4月 京都大学野生動物研究センター・兼任教授

3)専攻分野と主な研究課題

動物生態学、海鳥生物学
 1)アホウドリの保護研究
 2)伊豆・小笠原諸島海域における海鳥類の繁殖分布と生態

4)受賞と表彰

第14回山階芳麿賞の受賞、決まる(2006年5月10日発表)

 長谷川博は、財団法人山階鳥類研究所から鳥類の研究と保護に顕著な功績のあった人に贈られる山階芳麿賞の第14回受賞者に決定した。なお、贈賞式と受賞記念講演、関連するシンポジウムは、2006年9月23日の午後、東京有楽町の朝日ホールで行なわれました。

1996年 2月23日 平成7年都民文化栄誉章(東京都)
 ------ 特別天然記念物アホウドリの保護研究に対して

1996年 6月 9日 第43回産経児童出版文化賞(理想教育財団科学賞)(産経新聞社)
 ----- 長谷川博著『風にのれ! アホウドリ』(フレーベル館、1995)に対して

1996年11月13日 第45回小学館児童出版文化賞(小学館)
 ----- 長谷川博著『風にのれ! アホウドリ』(フレーベル館、1995)に対して

1997年 6月19日 第18回田村賞(財団法人国立公園協会)
 ----- アホウドリの保護増殖への貢献に対して

1998年 4月10日 第32回吉川英治文化賞(財団法人吉川英治国民文化振興会)
 ----- 20年以上にわたるアホウドリの研究と保護活動に尽力に対して

1998年12月15日 第 9回しずおか大賞(文化・教養部門)(株式会社静岡朝日テレビ)
 ----- アホウドリの保護への貢献に対して

1999年 3月20日 1998 National Conservation Achievement Award (International category) (National Wildlife Federation USA )
 ----- For an outstanding contribution to one of the most extraordinary wildlife recoveries of all time: the return of the short-tailed albatross

(訳)1998年自然保護功労賞[国際部門](全米野生生物連盟)
 ----- アホウドリ復活への顕著な貢献に対して

1999年 5月26日 環境庁長官感謝状(日本国政府)
 ----- 野生生物、とくにアホウドリの保護増殖への貢献に対して

2000年 3月20日 第 9回日本生活文化大賞(生活文化賞・個人賞)(財団法人日本ファッション協会)
----- アホウドリ復活に対して

2000年 6月12日 第 7回日本学士院エジンバラ公賞(日本学士院)
----- アホウドリの生態行動学とその絶滅危機よりの復活に対して

2001年 2月10日 Special Achievement Award (Pacific Seabird Group)
----- In recognition and appreciation of successful efforts to rebuild the population of the Short-tailed Albatross on Torishima Island and to expand the nesting locations of albatrosses there

(訳) 特別功労賞(太平洋海鳥学会)
-----鳥島におけるアホウドリの保護増殖とそこでの繁殖場所の拡大

2005年12月18日

財)日本自然保護協会から第5回沼田眞賞を受賞
----- 鳥島におけるアホウドリの復活に対する貢献に対して

2006年6月10日

東邦大学理事長・平成18年度特別表彰((学)東邦大学)
-----絶滅危惧種アホウドリの復活

2006年9月23日

第14回山階芳麿賞((財)山階鳥類研究所)
-----アホウドリの回復への貢献

2006年10月7日

第11回東邦大学理学部生物分子科学賞(東邦大学理学部)
----- デコイの利用によるアホウドリ新コロニーの確立
[内山春雄氏・(株)西尾製作所と共同受賞]

5)出版物など

○著書/訳書  (*印は絶版ですが、図書館等にはあるかもしれません)

刊行年 書名 著者名 頁 (シリーズ名等) 出版社  
 ------解説
1979 『とべ あほうどり』 〔伏原納知子(絵)と共著〕32pp. 新日本動物植物えほん4. 新日本出版社.
 -----小学校低学年向けの絵本。アホウドリ復活の夢を描いた。
1983* 『キセキレイ 子育ての観察』 40pp. カラー版自然と科学35. 岩崎書店.
 -----大学院生のときに研究したキセキレイの繁殖生態を写真と文章で紹介。
1984* 『アホウドリ:白いつばさ海をかける』 44pp. ジュニア写真動物記12. 平凡社.
 ------アホウドリを地球に復活させたいと夢を見ていたころ。
1984* 『現代の鳥類学』 (森岡弘之・中村登流・樋口広芳編 11氏と共著) 朝倉書店. [分担:第9章 海鳥の人口論,pp.199-214]
 ------ちょっと専門的
1988* 『白鳥の旅:シベリアから日本へ』 80pp. 東京新聞出版局.
 ------1987年7月、極北シベリアにコハクチョウの繁殖地を訪ねた。そして、その年の冬に日本各地の越冬地に出かけた。
1990* 『渡り鳥 地球をゆく』 204pp. 岩波ジュニア新書168. 岩波書店.
 ------鳥とのつきあいを軸にして、ぼくの半生をつづった。アホウドリの“新しい物語”を書き上げたい、という夢で終わる
1990 『アホウドリと大あほうどり先生』 172pp. 学研のノンフィクション. 学習研究社.
 ------ぼくとアホウドリとの出会い、それから15年後に500羽くらいまで回復。
1993 『はじめての野鳥』(叶内拓哉・溝口清秀と共著)80pp. 子どもとはじめる自然〔冒険〕図鑑4. 岩波書店.
 ------“遊び半分”長谷川流バードウォッチング入門。
1994 『ヒゲペンギン』(ラウリッツ・ソンメ、シュビレ・カラス著、長谷川博日本語版監修・訳)54pp. 大自然の動物ファミリー7. くもん出版.
1995 『風にのれ! アホウドリ』 105pp. フレーベル館.
 ------アホウドリの歴史と保護について解説し、この種の復活を展望した。
  第43回産経児童出版文化賞(科学賞)(1996年6月)と第45回小学館児童出版文化賞を受賞(1996年11月)した作品。
1995 『アホウドリ:愛のシンフォニー』 (長谷川 博 写真集)71pp. 講談社.
 ------アホウドリが鳥島に帰ってきて繁殖を始めるところから、ひなの巣立ちまで。
1997 『アホウドリの島』 56pp. 森の新聞9. フレーベル館.
 ------アホウドリの従来のコロニーで地滑りが起きて危険になった。鳥たちが安全な場所に定着して新しいコロニーをつくるように人間の手で促進しよう。いろいろな工夫を重ね、ついに新コロニーに最初の卵が生まれ、ひなが巣立った。この「デコイ作戦」を報告する。
1999 『よみがえれ あほうどり』 33pp. チャイルド本社.
 ------アホウドリの生態や歴史をやさしく描いた幼児向け写真絵本。
2001 『読者を楽しもう』 岩波書店編集部編. 6+200pp. 岩波書店.
 ------13人による読書への誘い。長谷川博「読書は世界をひろげる」は pp.129-142。
2003 『50羽から5000羽へ:アホウドリの完全復活をめざして』 222pp どうぶつ社.
 ------25年におよぶ思考と行動の軌跡、そしてアホウドリの復活に献身した人々の記録。
2003 『鳥の生命の不思議』(アドルフ・ポルトマン著、長谷川博日本語版監修・訳)195pp. どうぶつ社.
2006 『アホウドリに夢中』(長谷川博著)184pp. 新日本出版社社.1575円

○協力した本

刊行年月 書名 著者名 頁 (シリーズ名等) 出版社  
 ------解説
1996.5 『あほうどりの物語:あるばあとあっほう』 矢田呈子作・今井弓子絵 144pp. ゾ−オン社発行,刀水書房発売.
 ------アホウドリを題材にしたファンタジー。子供たちだけでなく、大人も愉しめるにちがいない童話。この本の挿絵に協力した。
1999.5 『アホウドリが復活する日:絶滅を宣言された鳥の保護につくした人びと』 国松俊英著. 192pp. (くもんのノンフィクション児童文学) くもん出版.
 ------アホウドリの保護増殖に関わった人びとを描く。解説を担当した。
1999.7 『消えゆくものたち:超稀少動物の生』 ダイアン・アッカーマン著, 葉月陽子・結城山和夫訳. 298pp. 筑摩書房.
 (Diane Ackerman:"The Rarest of the Rare : Vanishing Animals, Timeless World" Random House, 1995. の日本語訳)。
 ------1989年11月、詩人・作家・ナチュラリストのダイアン・アッカーマンと「世界海鳥図鑑」を書いたピーター・ハリソンは、アホウドリに会うために、ぼくといっしょに鳥島に行った。
 その時の紀行エッセイを含め、6篇を収録した本。彼女の構想力や論理的なテーマの選定、細密な観察力、抜群の文章表現力に、だれもがきっと驚く。
 読んで絶対に損をしない本。この本への解説を書いた。

2008.6

『永遠的信天翁』 劉克襄 著 224pp. 遠流出版公司、台北

2008年5月、ぼくが第98回鳥島アホウドリ調査からもどると、台湾の編集者からバーチャルラボラトリー宛に、アホウドリの写真を提供して欲しいという問い合 わせが届いていた。そのとき、約1カ月の留守中に溜ったメールでサーバーのメールボックスがパンクし、研究室のE-mailは不通になっていた。それで、メディアセンタ ーの谷澤滋生さん、山川美和さんのお世話になり、依頼された映像を送ってもらった。それらの映像がこの本の表紙や口絵を飾ることになった。

この本はアホウドリを題材にした動物小説(フィクション)で、本の帯には「台湾最伝奇的鳥類 消失百年的 短尾信天翁 詭異的飛翔旅程 取材歴史與生態、道地的 台湾動物小説」とある。おそらく、「台湾で最も知られていない鳥の一つで、絶滅から100年たったアホウドリ。その歴史と生態を取材し、この海鳥の驚異的な飛翔の旅 を壮大な物語にまとめた」というような意味であろう。

2010.11

紀伊國屋書店評伝シリーズ「学問と情熱」第36巻 DVD(約47分)
 『木原 均:生命科学を地球の医師に』
企画・発行/紀伊國屋書店、2010年11月刊、3800円

 もう45年も前、ぼくが高校1年生だったとき、学校で木原均先生の『コムギの祖先を求めて』という講演を聴きました。その内容は、ゲノム分析によるパンコムギの起源の解明で、当時のぼくはその遺伝学理論を十分に理解することができませんでした。しかし、そのときに上映してくださった、京都大学カラコルム・ヒンズクーシ学術探検隊の記録映画『カラコルム』にはすっかり魅了されました*。自分の学説を検証するためにアフガニスタンの現地に赴き、ほんとうに楽しそうに野外調査をしている研究者の姿にあこがれたのです(ぼくと同じように刺激を受けた若い人たちがたくさんいたことを後で知りました)。そのとき、ぼくの志望大学は決まったのです。

 そんなことが縁で、木原先生のDVD評伝にちょっとだけ出させていただくことになりました(木原ゆり子さんの推薦で)。2010年8月初旬、八丈島で生物学科1年生を対象に野外基礎実習をしているときの模様やインタビュー、そこからさらに南に300kmの海上に浮かぶ鳥島のアホウドリの映像が挿入されています(4分)。
ちょうど、ぼくが第1回鳥島調査を準備しているころ、木原先生は北海道大学創基百周年記念講演「生命科学を地球の医師に」で、つぎのように述べました。「-----、地球は人間だけのものではなく、全ての生物がここで生を営んでいるのです。他の生物なしでは人間は生きることができません。----」(1976年9月14日)。その後、成果が上がらず、つらく苦しい思いをしていたとき、この言葉に出会い、ぼくはとても勇気づけられました。

 

*ぼくが高校1年生のときに観た記録映画『カラコルム』は2010年にDVDブックとして復刻されました。

梅棹忠夫(監修)、カラコルム/花嫁の峰 チョゴリザ 刊行委員会(編)
『カラコルム/花嫁の峰 チョゴリザ:フィールド科学のパイオニアたち』
6+266pp. DVD2枚(79分、75分)京都大学学術出版会、2010年3月15日刊、3800円

2011.9

『科学者の本棚:「鉄腕アトム」から「ユークリッド原論」まで』 「科学」編集部編 10+266pp. 岩波書店.2,600円

 雑誌『科学』に連載された「こころにのこる一冊」(2005年6月-2010年12月)が1冊にまとめられました。さまざまな分野の科学者や科学とかかわり深い人たち64人の"とっておきの本"、"人生を導いた本"など、本との出会いの体験が紹介されています。ぼくは、ノーマン・マイアース著(林雄二郎訳)「沈みゆく箱船:種の絶滅についての新しい考察」(岩波書店、1981)を取り上げ、アホウドリの保護研究を始めた当初の苦悩の一端をさらけだしました(ふつう、こんなことは書かないものですが)。

 本書には、ほとんど刷り込まれてしまったような本から、格闘しながら読破した本など、さまざまな読書体験が綴られています。それだけでなく、科学者の人生そのものも驚くほど多様であることがわかります。そして、読み進むうちに、それぞれの科学者のこだわりやプリンシプル(主義主張)、もっとも大切にしてきたこと、などを感じ取ることができるにちがいありません。それは、ひるがえって読者自身の心に反射して、自分が大切にしなければならないことを気づかせるはずです。

○雑誌に発表された報告と論文

著者名
刊行年
論題 掲載雑誌

長谷川博
1995
アホウドリたちの憂鬱 『世界』 616号 145-152頁 岩波書店

長谷川博
1997
アホウドリはよみがえるか 『科学』 67巻211-218頁 岩波書店
長谷川博
1999
アホウドリは復活するか
:残された課題と展望
『遺伝』 53巻4号86-89頁 同巻5号54-58頁 裳華房

長谷川博
2001
羽毛を狙われた日本の鳥たち
----アホウドリ
『野鳥』 66巻9号4-9頁 日本野鳥の会

長谷川博
2004
復活の風に乗るアホウドリ
『エコソフィア』 第13号74-81頁 (株)昭和堂

長谷川博
2005
アホウドリ復活の夢を追って
『学士会会報』 第852号94-111頁
長谷川博
2006
小笠原諸島にアホウドリの第3繁殖地を:復活にむかってホップ・ステップ・ジャンプ!
『どうぶつと動物園』 58巻1号 4-13頁 東京動物園協会
長谷川博
2007
大型海鳥アホウドリの保護
山岸哲(監修)・山階 鳥類研究所(編)『保全鳥類学』 89-104頁 京都大学学術出版会
長谷川博
2008
最終段階に入ったアホウドリの保護
『科学』78巻935-937頁