アイパターン Eye pattern |
パルスを使ったディジタル通信では、パルス
のように表現しなければなりません。 ただし、 ロールオフ率が小さくなると、アイは横方向に閉じることがわかります。 また、多値数が大きくなると、アイは縦方向にも、横方向にも閉じることが分かります。 もし雑音が加われば、アイの狭さが急速に判定誤りを増加させます。 ロールオフ率を小さくすることは、帯域の使用範囲を狭めること、すなわち許された帯域幅を同じとすれば、単位時間当たりの送信パルスの数を増やすことを意味します。一方、多値数を増やすことは、一つのパルスが運ぶ情報量を増やすことを意味します。 もし雑音が小さければ、ロールオフ率を小さくしたり、多値数を増やしたりして、速いディジタル伝送を実現できるわけです。 次に、もう少しアイパターンの意味を理解するために、ロールオフ率を無限に小さくしてみましょう。 このとき正確なパルス伝送が不可能になることがわかります。 その理由は以下のようです。 になります。 このパルスを用いた送信ベースバンド信号は で与えられます。 この信号をほんのわずかずらせてサンプリングしてみます。 その時間ずれを
のようになりますが、 第1項は
ですから、過去と未来に続く送信シンボルが正の最大値と負の最大値を交互に繰り返したとき符号間干渉は最悪値をとります。 その値は となり、発散してしまいます。 以上のことから、ロールオフ率を小さくすると、アイは横方向にどんどん閉じてゆき、極限では完全に横方向に閉じてしまうことが分かります。 ただし、ちょうど
注 : 現実のディジタル通信では、雑音やチャンネル歪などを考慮して、ロールオフを決めます。 大雑把に言って、雑音やチャンネルの時間変化が小さいCATVやADSLなどの有線通信では、小さなロールオフと大きな多値数で効率が追求できます。 一方、信号対雑音電力比が大きくできない移動通信などでは大きなロールオフと小さな多値数で信頼性を確保しています。 |