心筋の活動電位は、収縮の引き金になるとともに収縮の大きさに影響し、さらに不応期の形成を通じて異常な電気活動が起こらないようにするなど、様々な役割を果たしています。この活動電位を直接測定するために用いられるのがガラス微小電極法です。
中空のガラス管をヒーターで熱して長軸方向に力を加えて引き延ばすと、先端が1ミクロン(1ミリの千分の1)程度の細く尖ったガラス管が出来ます。この中に電気を通す塩溶液をつめて測定用増幅器と接続したものがガラス微小電極です。一方、心筋組織を栄養液(血液に類似した塩溶液)に浸し、酸素を通じて体温と同じ37度に保ちます。そこにペースメーカー細胞の代わりに電気刺激装置とつないだ白金電極から規則的に電気刺激を加えると、心筋組織の細胞に活動電位が発生しつづけます。そこに三次元微動装置を使ってガラス微小電極を近づけ、組織表面の細胞の中にその先端を刺入します。これが成功すると心筋細胞で発生した微弱な活動電位を増幅器で拡大し、オシロスコープで観察したり、コンピューターに取り込んで解析したりすることが出来ます。通常の哺乳動物の活動電位の大きさは100ミリボルト、つまり私たちが使い慣れている1.5Vの乾電池が出す電圧の15分の1程度です。
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準備 ガラス微小電極−D 電気刺激を送る電極−B 電気刺激によって引き起こされた活動電位を測定器−Aで測定します。 |
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