海藻押し葉工房

海藻押し葉のつくり方

海藻押し葉について

押し葉標本は寿命が長い

 押し葉は乾燥標本として保存します。完全に乾燥した押し葉標本は、200年以上もの保存に耐え得るものです。
  幕末の日本に来て、さかんにわが国の植物を収集したシーボルトの作成した押し葉がわが国に帰ってきてデパートや博物館などで展示されることがあります。
  1823〜1829年の間に集めたものが、今でも色も鮮やかに形も変わることなく展示されるのを見ることは驚きです。海藻の押し葉は、ペリーが下田に来航した折りに、Wrightが下田の浜で採集した海藻の標本が米国に残っています。Wrightの採集したワカメは、茎の短い下田型のワカメであることがわかります。
  100年も経過した押し葉の一部を切り取って水を加えると形態分類学の研究に耐えるほどに組織が復活するのです。また、近年の遺伝子研究にも、押し葉が材料として使われています。このように、押し葉は外部形態のみならず、組織段階、遺伝子段階でも使える貴重な情報源であるわけです。

  押し葉は、植物の体を乾燥するという方法でつくるきわめて簡単でかつ有効なデータバンクなのです。そして、台紙に植物の乾燥品を貼りつけた押し葉標本は、大型のカードとして、整理するのにも都合の良いものです。生きている海藻の寿命はもっとも長命なものでも褐藻のアラメが7年ほどです。多くの海藻は1年草で、ほんの数ケ月しか寿命がありません。しかし、押し葉の寿命は200年以上もあり研究に耐えるものなのです。

次は海藻の押し葉は誰が作っても美しくできあがる

| TOPページへ | 海藻押し葉工房目次へ戻る | 前のページへ戻る | 次のページへ |