キャンパスの植物たち

東邦大学名誉教授  吉崎 誠

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キャンパスの植物達(冬のすがた)

植物たちの冬の姿を訪ねてみましょう

春には、木も草も花を開き、キャンパスは百花繚乱の世界でした。夏には深い緑の中にキャンパスの建物が隠れてしまうほどでした。秋には、ヤマノイモ科のヤマノイモDioscorea japonica Thunberg の黄葉にはじまり、カツラ科のカツラCercidiphyllum japonicum Sieb. et Zucc.のハート形の葉が黄色く色づいて風に揺れ、もっとも早くに人の心に秋を告げました。バラ科のソメイヨシノPrunus x yedoensis Matsumの葉が色づき、スギ科のメタセコイアMetasequoia glyptostroboides Hu & W. C. Chengが褐色の葉に包まれ、ツバキ科のナツツバキStewartia pseudocamellia Maxim.とカエデ科のイロハカエデAcer palmatum Thunbergが赤く色づき、最後にニレ科のケヤキZelkova serrata (Thunberg) Makinoが橙色から黄色へと、それぞれの木々がこの年を惜しむように精一杯の化粧をしていました。冷たい風に吹き飛ばされ落ちて歩道を極彩色にそめていました。残った葉も冬至の日の強風によって吹き飛び、クリスマスが終わると一斉に冬枯れの景色となりました。

カツラ

残るのは常緑樹の濃い緑色だけです。この時期に花を探すことはとても難しい。花壇にはパンジーの花がみられるくらいです。メディアセンター前のモクセイ科のヒイラギOsmanthus heterophyllus(G. Don) P. S. Greenがわずかに香る小さな白い花を咲かせ、カミヤツデTetrapanax papyrifer(Hook.) K. Kochがあの大きな葉に似つかわしく大きな花序を広げています。理学部II号館前のツバキ科のヤブツバキCamellia japonica Linnaeus.が濃いピンクの花を開いています。ヤブツバキの陰にあるマンサク科のマンサクHamamelis japonica Sieb. et Zuccの花はまだ咲いていません。ブナ科のシラカシQuercus myrsinaefolia Blumeの木の下ではヤツデFatsia japonica (Thunberg) Decnc. et Planch.がピンポン球をはじかせたような丸い花序をたくさんつけて重そうに垂れています。

この時期は、落葉樹の葉が落ちて日光が林の奥にまで陽が差し込みます。しかし、真夏の太陽の光量の半分もありません。日暮れも早く、あっという間に暗くなってしまいます。植物たちの冬の姿を訪ねてみましょう。

この稿は、2008年12月26日から28日までの2泊3日の間に、東邦大学理学部生物学科で行われる国際生物学オリンピックの第一回特別訓練のために書き起こしたものです。

☆植物の名前は○○科の○○○、マツ科のヒマラヤスギとおぼえましょう。学名はGenus + species epithet + Auther name で構成されています。すなわち、属名+種小名+著者名で属名と種小名はラテン語で書かれます。属名と種小名は筆記体で書き分けられます。学名は1つの生物に唯一名付けられた名前です。これを覚えると、世界中の分類学者と同一の生物についての議論ができます。ヤマノイモとか、カツラといった名前は和名です。

 

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