キャンパスの植物たち

東邦大学名誉教授  吉崎 誠

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キャンパスの植物たち

中央道路付近

スダジイ

ケヤキは高さ20mをこす巨木になります。

 ムクゲケヤキエノキイヌシデコナラニレエゴノキは関東の二次林の代表種です。鳥によって種子が運ばれることから、わざわざ植えなくともキャンパスのいたるところにヒョコヒョコと生えてきます。でも、これらの若木はキャンパス内は頻繁に行われる草刈りによって刈り取られてしまいます。

 中央道路に向かって右側の並木の一番手前がケヤキです。2番目はカバノキ科のイヌシデです。このイヌシデはキャンパス内で芽生えたものを育てて若木をここに移植したものです。ここは一番水条件の悪い所で、うまく根付いてくれるかどうかとても心配したのですが、何とか育ってくれました。葉は互生し、表面はざらつき、縁にはきょ歯があります。葉は左右不揃いです。サクラが咲く頃に細いヒモ状の花序を垂れています。サクラが散る頃には落ちてしまいますから、枝を下げて花穂をつまみとってよく観察してください。黄褐色の花を咲かせています。6月に翼のある種子を生じます。

 ケヤキも芽出しの頃が観察の最適期です。見上げてください。すでに広く葉を広げている枝と、まだ蕾のままの枝とがあります。1本の樹木にこのように成長の異なった枝を持つこともケヤキの特徴です。春早くは、3寒4温だけでなく、今年のようにとても暖かい日ばっかりだったり、4月に遅霜があったりと天候は一定ではありません。そこで、ケヤキは枝毎に少しづつ、時期を変えて葉と花を展開するのです。

 手頃な枝を引っぱって見ると、葉の付け根のあたりに段状につけた花を見つけることができます。こんな大きな木に、こんなに小さな花をつけるなんて信じられないほどですね。ルーペでみるとちゃんと雌蕊も雄蕊も確認できるでしょう。

 中央道路の真ん中に太くどっしりとした巨樹があります。ブナ科のスダジイです。 一年中てかてかとした緑の葉をつけています。関東から南の林の代表的優占種です。 照葉樹林の主要な構成種です。5月に枝の先に雌花穂を立て、雄花穂を下げる。9月まで果実は苞に包まれて、熟した果実は苞が破れて落下する。シイの実は細長いドングリです。苦みがなく鬼皮をむいただけで生で食べられます。


花序とは

枝に花がつく配列状態をいいます。代表的なものは以下のように分けられています。総穂花序(穂状花序、総状花序、頭状花序、散形花序、散房花序)。集散花序(単出集散花序、二出集散花序、多出集散花序)。杯状花序。隠頭花序。また、これらの花序が複数集まったものを複花序とよびます。

葉序とは

枝に葉がつく配列状態をいいます。互生(二列互生、螺旋状互生)、対生(十字対生)、輪生(三輪生、四輪生)があります。

1960年代、このスダジイのまわりにはクロマツサワラハリギリウリノキなどが生えていてこんもりとした林でした。どの木も目立った樹ではありませんでした。その後、薬草園をつくるために周辺の樹木は切り倒されてしまい、薬草園の片隅の樹となりました。やがて中央道路建設時に、さらに現在のように道路脇に取り残されてしまったのです。一本だけ取り残された森の樹は、中央道路を吹き抜ける風にさらされます。雨水がしみ込むようにと配慮がなされているものの、根を横に張り出す所はありません。よく見ると幹も朽ちてサルノコシカケの仲間の茸が生えています。秋には根のまわりに大きなキノコが傘をひらきます。巨樹とはいいながら、樹齢はおよそ100年ほどです。大事に守らなければならない樹です。
  道路を隔てて東側の植え込みに入ると、ブナ科のコナラがドングリをつけています。足下をさぐると丸っこいドングリがコロコロところがっています。ドングリのいれものは殻斗(カクト)とよばれておわん形です。葉は互生し、短い柄があり、長さ5〜15p、幅2〜7p、倒卵形〜楕円形で、へりにはあらいきょ歯があり、先は尖る。葉の上面はスベスベしているが、裏面は毛があり白く見える。秋に1週間ほど紅葉する。コナラクヌギクリは北総(千葉県北部)の主要な二次林の構成種です。
  コナラの木の下にタンポポが生えています。総ほう片が反転しているのがセイヨウタンポポです。総ほう片が反転していないのはカントウタンポポです。キャンパスの多くの場所からカントウタンポポが消えてしまいましたが、ここはカントウタンポポがよくでてくるところです。

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▲ケヤキ

▲イヌシデ

▲コナラ

▲エゴノキ

▲クヌギ

▲カントウタンポポ

 

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