掲載:2107年1月16日

繁殖つがい数センサスと個体数カウントの方法[解説]

>> 繁殖つがい数センサス法

個体数カウントの方法

1.ハンド・カウント

 それぞれのコロニーで、全体を俯瞰できる場所から、地上にいる個体、上空を飛翔している個体、沖の海上に群れて浮いている個体(崖上コロニーを除く)に分類して、双眼鏡でのぞきながらそれぞれの個体数をハンド・カウンターで数える。
  晴れや曇りの穏やかな日にカウントし、雨や強風の日には行なわない(雨は双眼鏡の視野を曇らせ、強風は双眼鏡に微振動を生じさせ、カウントを困難にする)。

 

2.カウントの時刻

 11月下旬から12月初旬の鳥島における日没時刻は16時38分前後で、17時にはかなり暗くなる。また、従来コロニーのカウントする燕崎の崖の中段にある観察地点から、燕崎崖上の新コロニーを経て北西斜面の新コロニーの観察地点に着くのに1時間あまりかかる。そのため、燕崎斜面の従来コロニーでは14時から、燕崎崖上の新コロニーでは15時から、北西斜面の新コロニーでは16時からカウントを始めた(ただし、雨が降りそうな日には、これらの時刻より30分から45分早く開始)。

3.小区域に分割してカウント

 密集したコロニーでは、いくつかの小区域に分けて地上にいる個体を数え、集計する。北西斜面の新コロニーでは2区域に、燕崎斜面の従来コロニーでは東地区を3区域、西地区を9区域(線状に設置した土留めや植生の生育状態を目印にして)に分けた。燕崎崖上の新コロニーは区分する必要がない。

4.年齢クラス

 まず各小区域にいる全個体数を数え、つぎに体全体が白い成鳥の数を数える。こうして、大まかな年齢クラス構成を把握する。

5.カウントの集計

 数回から10回あまりのカウント結果を集計して、各コロニーと鳥島全体(それぞれの日の各コロニーのカウント数の合計)のカウント数の平均値、標準偏差、最大値・最小値などを求める。鳥島全体のカウント数の最大値は、各コロニーのカウント数の最大値の合計ではない。

 今シーズンの調査結果を下の表に示す。

表 2016年11-12月のカウント集の集計

6.評価

 カウント中に複数の個体がコロニー内を歩いて移動していることがあるが、小区域に分けて短時間で調査しているので、その個体を識別することが可能で、個体の二重カウントや見逃しを避けることができる。ただし、カウント中にすでに調査した小区域に着陸した個体や未調査の小区域から飛び立った個体も見逃す可能性がある。したがって、集計したカウント数は調査した日に鳥島に滞在していた実際の個体数の過小評価となっていて、少なくともこれだけの個体が生存していたことを示す。このカウント数も毎年同じ方法で調査しているので、比較が可能である。