尖閣諸島南小島
 
 

3.尖閣諸島南小島

    2001年3月6〜7日に尖閣諸島を空から調査し、南小島に着陸して一泊すること
ができた。これまでは日帰り調査だったため、くわしい観察は不可能だったが、
今回は余裕をもって南小島をくまなく調査することができた。

ひなの数は、人が近づくことのできない断崖の中段にある狭い岩棚に12羽、島
の頂上部の斜面に12羽、合わせて24羽だった。
ひなの数は、1988年4月には岩棚に少なくとも7羽で、91年3月には岩棚に10羽、
92年4月にも岩棚に11羽だったから、今年は約2倍に増え、しかも営巣範囲が
拡大した。

ひな以外に、合計79羽の成鳥と繁殖年齢前の若鳥を観察した。岩棚に41羽、頂
上部に36羽がいて、隣の北小島の頂上部の平地にも2羽がすわっていた。
もちろん、これらは尖閣諸島の集団の一部にすぎず、海に出て採食していた鳥
は含まれていない。

これらの観察から、鳥島での観察にもとづいて、この集団の大きさをおおまか
に推測すると、繁殖つがい数は約40組で(繁殖成功率を60%と仮定)、総個体
数は約170羽となる。したがって、2001年6月には、巣立ったひなと合わせて約
200羽になったと考えられる。