掲載:2011年6月20日

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ミッドウェー環礁のアホウドリのひな、嵐や津波を乗り越え、巣立ちへ!

 国外で初めて、2010年11月中旬に、北西ハワイ諸島ミッドウェー環礁で産卵したアホウドリのつがいが、無事、ひなを育てあげました。2011年6月8日、巣立ち間近のこのひなにミッドウェー国立野生生物保護区の保護管によって足環標識が装着されました(下記サイトを参照,画像が掲載されています)。

http://www.flickr.com/photos/usfwspacific/sets/72157625522391142/

 このひなは二度の危機を乗り越えて、巣立ちを迎えました。荒れ狂う嵐のなかで、2011年1月14日、ひなは誕生しました。この天候はこのひなのその後を暗示していました。2月11日、ミッドウェー環礁に接近した低気圧は、激しい嵐となって島を襲い、それによって発生したうねりによる大波が海岸を洗いました。このとき、ひなは波によって巣から約25mも流されました。同じ場所で繁殖していたコアホウドリやクロアシアホウドリの成鳥やひなは数多く犠牲になったにもかかわらず、このひなは幸運にも生き残りました。その後、野生生物保護区の保護官に発見され、巣のあった場所にもどされました。それからは両親によって保育され、順調に育ちました。

 しかし、日本時間3月11日に東北地方太平洋沖で起こった巨大地震による津波が、現地時間10日の深夜、ミッドウェー環礁に押し寄せ(津波の高さ、約1.5m)、アホウドリが営巣したイースタン島の大部分を洗い流しました。そのため、ひなはまたも流されましたが、巣から約35mの地点で生き残っているところを発見されました(下記サイトを参照)。そして再度、巣場所にもどされ、両親の保育を受けて、成長しました。

http://www.fws.gov/midway/tsunami.html
http://www.flickr.com/photos/usfwspacific/sets/72157626265154692/

 

 この津波や1月と2月の嵐で、コアホウドリとクロアシアホウドリのひなが合わせて11万羽余り(今シーズン巣立つはずだったひなの数の約22%)も犠牲になりました(詳細は下記サイトを参照)。

http://www.fws.gov/midway/TsunamiSeabirdLossesFinal031811.pdf

そのことを考えると、このアホウドリのひなはきわめて幸運だったといえます。3種のなかでアホウドリは最も体が大きく、その繁殖期は他の2種よりも少し早いため、このひなは他種のひなより体が大きかったはずです。この体の大きさがうねりや津波の大波に対して有利だったのではないかと推測されます。

 二度の危機を乗り越えたアホウドリのひなが、無事、北太平洋に飛び立ち、さらにいくつもの試練を乗り越えて、数年後にミッドウェー環礁に帰還することを期待しないではいられません。

 

関連ページ

2011年2月24日掲載: ミッドウェー環礁でアホウドリのひなが誕生!