東邦大学薬学部付属薬用植物園
開催当日は小雨が降り続き5月にしては大変寒い午後でしたが、薬用植物園およびメディシナルハーブガーデンの植物を熱心に観察しました。
植物の形態や利用法、自生地などについての解説を聞きながら植物を観察し、ダマスクローズの香を嗅ぎ、直接植物に触れ、ハーブの利用法や栽培についてなどの質問にも答えながら薬用植物園・メディシナルハーブガーデンを廻ります。
その後、室内で日本のハーブ「カキドオシ」(英名 グラウンドアイビー)をお茶にしていただき、冷えた体を温めました。
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上段左:コモンセージの花 上段中央:芳香性のオールドローズ(ダマスクローズ)の香を確かめる。 |
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上段右:植物の花の構造について解説する村上先生。 左:カキドオシ茶 |
オタハイトオレンジ / OtahieteOrange科:ミカン科 学名:Citrus tait ensis 別名:ミニチュアオレンジ、ピノッキオオレンジ オタハイトとはタヒチ島のこと。タヒチから英国を経由してフランスに持ち込まれた。レモンとマンダリンの交雑種で食用にはしないが、香りは非常によい。圧搾果汁に抗酸化作用があるとの研究報告がある。 ![]() ▲本日の主役、オタハイトオレンジ。薬用植物見本園で収穫したもの。オタハイトオレンジの花もまた香がよい。 ![]() 水蒸気蒸留実験【目的】 ハーブの活用部位を材料として水蒸気蒸留実験を行い、精油及び芳香蒸留水を得る。 【精油】 Essential oil 植物に含有される揮発性物質の総称。一般に植物体を水蒸気蒸留したときに難溶性の液体として得られる。 概ね芳香を有し、様々な化合物から成る。 【芳香蒸留水】 Hydrosol , Hydrolat 植物体を材料とした水蒸気蒸留の過程で副次的に生産させる液体で、蒸留水とともに水溶性の成分や微量の精油を含む。 【水蒸気蒸留の原理】 沸点の高い物質や熱分離しやすい物質でも、水に溶けにくいものならば、水蒸気と共存させることにより、その物質の沸点より低い、水の沸点あるいはそれよりも低い温度で留出させることができる。このような蒸留法を水蒸気蒸留という。 (テキストより一部抜粋) |
1)オタハイトオレンジの皮を利用します。出来るだけ白い部分をつけないように皮を削ぎ、細かくちぎります。 ![]() 2)水蒸気蒸留装置に皮を入れ、蓋をしっかり閉めます。 ![]() 3)加熱すると水が黄色く染まり、精油成分を含んだ蒸気が左側の冷却装置内で冷やされ、下の分液ロートにたまります。 ![]() 4)冷やされた蒸気は、分離ロートの中で芳香蒸留水と精油に分離します。 ![]() 5)分液ロートにたまった液体のうち、下側のハーブウォーターをビーカーに落とします。残った精油を別の容器に移します。 ![]() |
講師:村上 志緒(むらかみ しお)早稲田大学大学院理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 生物物理部門修士課程修了。理学修士。 2000年3月までNECに勤務、バイオセンサの開発、生体の情報伝達機能についての研究に従事。 2000年4月グリーンフラスコ株式会社入社。グリーンフラスコ研究所主任リサーチャー。NHK文化センター講師。アロマトピア(フレグランスジャーナル社)に「ハーブリサーチレビュー」を連載中。 2002年9月「日本のハーブ事典」(東京堂出版)を発刊。2006年2月『ひとりで学べるアロマテラピー検定試験1級・2級』(ナツメ社)監修。 グリーンフラスコ勤務の傍ら、2003年1月より東邦大学薬学部生薬学教室に在籍。 |