屠蘇散を作る

講師

東邦大学薬学部客員講師
磯東洋医学研究所所長
鈴木 尭先生

 鈴木先生の屠蘇に関する民俗学的背景を踏まえた造詣深い講義の後、全員で生薬を調合しました。

屠蘇について

屠蘇は正月松の内に用いる薬酒。
平安朝の初期 嵯峨天皇の弘仁2年(811年)に初めて宮中で用いられました。

『本草綱目』の処方

赤ジュツ(*1)・桂心各7銭5分、防風1両、シャクケイ(*2)5銭、蜀椒・桔梗・大黄各5銭7分、烏頭2銭5分、赤小豆14粒。

【用法】三角に縫った袋に入れて除夜に井戸の内側にかけ、元旦に取り出して酒中に入れ。煎じて数回わかしたのを。一家挙って東に向かい、年少者から年長者の順に飲み、薬滓はまた井戸に投入れる。毎年この水を飲めば1代の間無病であるといわれた。

『本朝食鑑』の処方

山椒・桔梗・シャクケイ(*2)・大黄各5分、赤ジュツ(*1)・桂心各7分半、防風1銭、烏頭2分、赤小豆10粒

*1
ジュツ
*2
シャクケイ

屠蘇の語源

屠蘇の屠は「屠る(ほふる:打ち負かす、責め滅ぼすなどの意)」、蘇は悪鬼の名で、「悪鬼を退治する、邪を払う」というような意味を持ちます。

屠蘇散を作る

実際に使った生薬

ケイヒ
ソウジュツ
サンショウ
チンピ
ニンジン
ボウフウ
キキョウ

調合

生薬を適量ずつ摂り、不織布で出来た袋に入れます。
専用の器具(ヒートシール)で封をし、出来上がり。この屠蘇散は年末28日頃、お酒に入れて2・3日置き、年始にいただきます。

生薬一覧

生薬名 (漢字) 部位 適用
ケイヒ 桂皮 樹皮 芳香性健胃・矯味・矯臭・香味料
ソウジュツ 根茎 利尿・芳香性健胃(民間では、湿気を払いカビを防ぐ)
サンショウ 山椒 果実 芳香性健胃
チンピ 陳皮 果皮 芳香性健胃
ニンジン 人参 強壮
ボウフウ 防風 頭痛・発汗・去痰
キキョウ 桔梗 去痰

 

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