4.火山噴火に伴って湧出した熱水における生物の生態系調査

ロシア・カムチャツカ半島の活火山群のひとつである Karymsky 火山は1996年1月2日に大爆発を起こし、さらに近隣の Karymsky 湖の湖底噴火も引き起こした。

火山活動の周囲では一見、生物の存在が確認されなかったが、熱水湧出口からその流程にかけて好熱性の藻類が確認された。それら数種の藻類は環境温度により棲み分けがされていることがわかり、また、好熱性細菌の生息も確認された(論文28、30、発表73)。

また、世界で有数の間欠泉を有するガイザーヴァレイの熱水およびシリカ沈殿物に関するプロジェクトが開始され、その前段階の調査として熱水中の微生物に関する基礎的研究を行ったところ、分岐型の興味ある微生物が確認された(発表70、75、84)。

さらにコスタリカ・ポアス火山火口湖周辺の熱水試料をコスタリカ国立大学火山地震観測所のマリア・マルチネス氏やエドワルド・マラバッシー氏らの協力で 手に入れることが出来、その試料に関する微生物学的調査を行った。

緑色マットが形成されている温泉水(pH2.24、46.3℃)より Cyanidium が観察され、白色マットが形成されている温泉水(pH 2.47、42.4 ℃)より硫黄の沈殿物が付着したと考えられる植物細胞や細胞の仕切が見られない植物細胞が観察された。両者から珪藻(NaviculaCymbella )が観察された。また、好熱性のBacillus sp. が分離された(発表89)。