掲載:
回数の肩の * 印は、この時には上陸できなかったことを示す。
回数 |
年/月 |
主な調査内容 | 船・飛行機 | 同行者 |
---|---|---|---|---|
1* |
1976/11 |
沖から繁殖つがい数を観察 | 大島分場 みやこ | 単独 |
2 |
1977/3 |
上陸してひなに足環標識 | みやこ | 八丈支庁 |
3* |
1977/11 |
沖から繁殖つがい数を観察 | みやこ | 単独 |
4* |
1978/3 |
沖からひなを観察 | みやこ | 単独 |
5* |
1978/11 |
沖から繁殖つがい数を観察 | みやこ | 単独 |
6 |
1979/3 |
上陸してひなに標識 | みやこ | 単独 |
7 |
1979/11 |
上陸して産卵数調査 | 第5稲荷丸 | 日本野鳥の会 |
8 |
1980/3 |
上陸してひなに標識 | みやこ | NHK 環境庁 野鳥の会 |
9 |
1980/11 |
上陸して産卵数調査 | 第5稲荷丸 | 野鳥の会 神衛研 日経 |
10 |
1981/3 |
上陸してひなに標識・工事予備調査 | みやこ | 八丈支庁林務係 |
11 |
1981/6 |
ススキ移植工事(西地区) | 第5稲荷丸 | 八丈支庁林務係 |
12 |
1981/11 |
上陸して産卵数調査 | 第8稲荷丸 | 竹重 |
13 |
1982/3 |
上陸してひなに標識 | みやこ | 岩波映画 |
14 |
1982/6 |
ススキ移植工事(東地区) | 第5稲荷丸 | 八丈支庁林務係 |
15 |
1982/11 |
産卵数調査 | 第8稲荷丸 | 馬場 |
16 |
1983/3 |
ひなに標識 | みやこ | 単独 |
17 |
1983/11 |
産卵数調査 | 第8稲荷丸 | 共同通信社 |
18* |
1984/3 |
船が故障し上陸できず、もどる | みやこ | 中野 |
19 |
1984/4 |
ヘリで上陸、ひなに標識 | 朝日ヘリコプター | 朝日新聞社 |
20 |
1984/11 |
産卵数の調査 | 第8稲荷丸 | 沢田・早川 |
21 |
1985/3 |
ひなに標識 | みやこ | 沢田・早川 |
22 |
1985/11 |
産卵数調査(TBS/わくわく取材) | 第8稲荷丸 | TBS |
23 |
1986/3 |
ひなに標識・工事予備調査 | みやこ | 八丈支庁林務係 |
24 |
1986/6 |
ススキ補植・砂防工事 | 第5稲荷丸 | 八丈支庁林務係 |
25 |
1986/11 |
産卵数調査 | 第8稲荷丸 | G. Robertson |
26 |
1987/4 |
ひなに標識 | 読売ヘリコプター | 読売新聞社 |
27 |
1987/11 |
産卵数調査《受難百周年供養》 | 第8稲荷丸 | 藤井 |
28 |
1988/4 |
ひなの調査 | 朝日ヘリコプター | 朝日新聞社 |
29 |
1988/5 |
巣立ちの観察(NTV/追跡取材) | 第8稲荷丸 | NTV/追跡 |
30 |
1988/10 |
鳥島への飛来調査(NTV取材) | 第8稲荷丸 | NTV/追跡 |
31 |
1988/11 |
産卵数調査(NTV取材) | 第8稲荷丸 | NTV/追跡 |
32 |
1988/12 |
孵化の観察(NTV取材) | 第8稲荷丸 | NTV/追跡 |
33 |
1989/2 |
ひなの観察(NTV取材) | 朝日航洋ヘリ | NTV/追跡 |
34 |
1989/4 |
ひなに標識(NTV取材) | 第8稲荷丸 | NTV/追跡 |
35 |
1989/5 |
巣立ちの調査(NTV取材) | 第8稲荷丸 | NTV/追跡 |
36 |
1989/10 |
飛来の調査(TBS/わくわく取材) | 第8稲荷丸 | TBS/イ−スト |
37 |
1989/11 |
産卵数調査 | 第8稲荷丸 | D. Ackerman, P. Harrison |
38 |
1989/12 |
孵化の調査(TBS取材) | 第8稲荷丸 | TBS/イ−スト |
39 |
1990/3 |
ひなに標識・砂防工事予備調査 | 優宝丸 | 環境庁・東京都 |
40 |
1990/4 |
ひなの調査(TBS取材) | 第3稲荷丸 | TBS/イ−スト |
41 |
1990/5 |
巣立ちの観察(TBS取材) | 第3稲荷丸 | TBS/イ−スト |
42 |
1990/7 |
砂防工事 | 孝陽 II | 八丈支庁林務係 |
43 |
1990/11 |
産卵数調査 | 貴洋丸 | BBC/B. Britton |
44 |
1991/4 |
ひなに標識 | 貴洋丸 | 単独 |
45 |
1991/11 |
産卵数調査・デコイ予備調査 | 第8薬王丸 | FTV 山階鳥研 三洋 |
46 |
1992/4 |
ひなの調査・デコイ予備調査(続) | 友丸 | FTV 山階鳥研 三洋 |
47 |
1992/11 |
産卵数調査・デコイ設置 | 友丸 | 山階鳥研 朝日新聞 |
48 |
1993/2-3 |
音声放送装置設置 | 海保庁やしま | 環境庁 山階 三洋 FTV |
49 |
1993/4-5 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 内山・坂脇 |
50 |
1993/7 |
砂防工事予備調査 | 東邦航空ヘリ | 東京都林務課 |
51* |
1993/7-8 |
前線停滞し、上陸できず帰還 | マリンたかさい | 八丈支庁林務係 |
52 |
1993/8 |
砂防工事現地指導 | マリンたかさい | 工事関係者 |
53 |
1993/10 |
デコイ設置・産卵観察 | 海保庁やしま | 山階鳥研 三洋 NHK |
54 |
1993/11 |
産卵数調査・デコイ観察 | 友丸 | 朝日新聞(谷川)・嶋田 |
55 |
1994/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 千葉県立中央博(林) |
56 |
1994/6 |
砂防補完工事・シバ植栽 | 友丸 | 工事関係者 |
57 |
1994/11 |
産卵数調査(テレビ東京取材) | 友丸 | 凸版印刷映像企画部 |
58 |
1995/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
59 |
1995/6 |
営巣環境保全・維持工事 | 友丸 | 東京都林務課 |
60 |
1995/11 |
産卵数調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
61 |
1996/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 朝日新聞(内山)・浜 |
62 |
1996/6 |
営巣環境保全・砂防工事 | 波太郎丸 | 八丈支庁林務係 |
63 |
1996/11 |
産卵数調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
64 |
1997/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
65 |
1997/6 |
営巣環境保全・砂防工事 | 波太郎丸 | 八丈支庁林務係 |
66 |
1997/11 |
産卵数調査・デコイ観察 | 友丸 | Rick Steiner |
67 |
1998/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
68 |
1998/6 |
営巣環境保全・砂防工事 | 波太郎丸 | 八丈支庁林務係 |
69 |
1998/11 |
産卵数調査 | 友丸 | John Albertsen |
70 |
1999/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 読売新聞(三島・河村) |
71 |
1999/6 |
営巣環境保全工事 | 次郎丸 | 八丈支庁林務係 |
72 |
1999/11 |
産卵数調査 | 友丸 | 単独 |
73 |
2000/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
74 |
2000/6 |
営巣環境保全工事 | 次郎丸 | 八丈支庁林務係 |
75 |
2000/7 |
営巣環境保全追加工事 | 友丸 | 単独 |
76 |
2000/11 |
産卵数調査 | 友丸 | 朝日新聞(小林正明) |
77 |
2001/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 読売新聞(笹沢・松田) |
78 |
2001/6 |
営巣環境保全工事 | 友丸 | 八丈支庁林務係 |
79 |
2001/11 |
産卵数調査 | 友丸 | 単独 |
80 |
2002/3-4 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
81 |
2002/6 |
営巣環境保全工事 | 友丸 | 八丈支庁林務係 |
82 |
2002/11-12 |
産卵数の調査 | 友丸 | 単独 |
83 |
2003/3-5 |
ひなの調査・デコイ観察 | 友丸 | 単独 |
84 |
2003/6 |
従来コロニ−保全管理工事 | 友丸 | 八丈支庁・大勝組 |
85 |
2003/11-12 |
産卵数の調査 | 友丸 | 単独 |
86 |
2004/3-4 |
ひな調査・新コロニー観察 | 友丸 | 単独 |
87 |
2004/6 |
従来コロニ−保全管理工事 | 友丸 | 大勝組 |
88 |
2004/11 |
産卵数の調査 | 友丸 | 単独 |
89 |
2005/3-4 |
ひなの調査・新コロニー観察 | 友丸 | 単独 |
90 |
2005/7 |
従来コロニ−保全管理補完作業 | 友丸 | 単独 |
91 |
2005/11 |
産卵数の調査 | 友丸 | 大江千尋 |
92 |
2006/3-4 |
ひなの調査・新コロニー観察 | 友丸 | 単独 |
93 |
2006/6 |
従来コロニ−保全管理補完作業 | 友丸 | 単独 |
94 |
2006/12 |
産卵数の調査 | 友丸 | 単独 |
95 |
2007/4 |
ひなの調査・新コロニー観察 | 友丸 | 単独 |
96 |
2007/6 |
従来コロニー保全工事補完作業 | 峰生丸 | 単独 |
97 |
2007/11 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 大江千尋 |
98 |
2008/4 |
ひなの調査・新コロニー観察 | 峰生丸 | 単独 |
99 |
2008/6 |
従来コロニー保全管理補完作業 | 峰生丸 | 単独 |
100 |
2008/11 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 大江千尋・堀越雅晴 |
101 |
2009/4 |
ひなの調査・新コロニー観察 | 峰生丸 | 単独 |
102 |
2009/6 |
砂防工事 | 峰生丸 | 単独 |
103 |
2009/11 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
104 |
2010/4 |
ひなの調査・新コロニー観察 | 峰生丸 | 単独 |
105 |
2010/11 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 大和茂夫 |
106 |
2011/4 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
107 |
2011/11 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
108 |
2012/4 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
109 |
2012/12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | Tui De Roy |
110 |
2013/4 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
111 |
2013/7 |
従来コロニー保全作業 | 峰生丸 | 単独 |
112 |
2013/9 |
国指定鳥島鳥獣保護区保全対策工事 | 東邦航空ヘリコプター | 環境省・いであ株式会社・大勝組 |
113 |
2013/12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
114 |
2014/4 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
115 |
2014/9 |
国指定鳥島鳥獣保護区保全対策工事 | 朝日航洋ヘリコプター | 環境省・いであ株式会社・大勝組 |
116 |
2014/12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
117 |
2015/4 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
118 |
2015/6 |
従来コロニー保全作業 | 峰生丸 | 単独 |
119 |
2015/12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
120 |
2016/3-5 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
121 |
2016/11-12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
122 |
2017/3-5 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
123 |
2017/11-12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
124 |
2018/3-5 |
ひなの調査 | 峰生丸 | 単独 |
125 最終回 |
2018/11-12 |
産卵数の調査 | 峰生丸 | 単独 |
この表が示すように、これまで私は、ほんとうにたくさんの方々から、支援・ 協力・激励をいただき、どうにか、鳥島のアホウドリの繁殖状況や繁殖生態を 調査し続けることができました。
とくに、私がまだ若くて、調査研究資金に不自由していた最初の10年間に、13 回も、東京都水産試験場大島分場の漁業調査指導船「みやこ」に便乗して、鳥島に行くことができました。
便乗を許可してくださった分場長や、漁業資源調査や海洋観測という本来の任務以外に私のアホウドリ調査のためにお骨折りいただいた船長はじめ乗務員のみなさんに心から感謝申し上げます。
また、テレビ・新聞など報道機関のみなさんには、ほんとうに何度も助けてい ただきました。もし、これらの積極的な支援がなかったら、私は、足環標識調査を継続することができず、調査回数をこれほど重ねることはできなかったでしょう。
また、アホウドリの繁殖生態や行動を十分に観察することもできなかったにちがいありません。
さらに、東邦大学理学部からだけでなく、最近では「アホウドリ基金」や「静岡アルバトロスの会」(1996年に発足し、2004年に新コロニー形成が成功したことで、所期の目的を達して活動を終了した)からも調査資金を支援していただいています。ご寄付いただいたみなさんに深く感謝いたします。
それから、環境庁野生生物課(旧鳥獣保護課)や東京都農林水産部林務課、東京都八丈支庁産業課林務係の担当者のみなさん、また、八丈島の(株)大勝組のみなさんには、アホウドリ保護のために、予算の獲得や保護事業計画の作成、保護管理作業の実施に、さまざまな能力を発揮していただきました。
また、文化庁記念物課からも調査研究にたいして助言をいただきました。
このようなたくさんの方の長期にわたる共同行動があったからこそ、アホウドリの繁殖成功率を引き上げ、ひなを増産することができたのです。
その結果、鳥島集団の個体数は順調に増加し、1999年5月にはついに、推定総個体数が1000羽を超えました。
さらに2007年5月には鳥島から、ついについに、200羽を大幅に超える231羽のひなが巣立ち、鳥島集団の総個体数は推定で1945羽になりました。それに尖閣諸島集団のおよそ350羽を加えると、地球上の総個体数は約2300羽に回復しました。
また、活動度のもっとも高い活火山の一つである鳥島の噴火に備えて、2008年2月から、小笠原諸島聟島列島に第3繁殖地を形成(復元)する大計画が、アメリカ連邦魚類野生生物保護局と山階鳥類研究所、環境省・農林水産省・文部科学省などの国際協力によって進められます。この計画では、鳥島の従来コロニーから孵化後1カ月あまりのひなを聟島列島の聟島本島に運んで、そこで5月半ばまで約3カ月にわたって人手でひなを野外飼育し、海に飛び立たせます。巣立ったひなは成長して、数年後に聟島 に帰ってきて新繁殖集団の核となるでしょう。
この「聟島列島移住作戦」が実施される時期に、ぼくは大学でのさまざまな仕事があ り、また鳥島での野外調査を続けなければならないので、この「作戦」に直接かかわることはできません。アホウドリ保護の“最前線”からは離れ、“裏方”に回って、 鳥島の従来営巣地のきめ細かな保全管理を継続して繁殖成功率を60〜70%に維持し、 なるべく多数のひなが巣立つように最善を尽くし、聟島列島に送り出すひなの数(約 100羽)を確保しようと思います。そのことが、「作戦」の目標を達成する基礎であ り、将来、鳥島から聟島列島に自発的に移住する鳥を生み出すことにつながると思っています。
2007年5月17日の未明、山階鳥類研究所の調査チームを鳥島に上陸させた後、島の周囲に停泊していた「友丸」が座礁・沈没しました。さいわい、船長は無事で、海上保安庁に救助されました。1992年4月から15年間にわたって、39回もぼくを鳥島に運んでくれた土屋友延船長に、心から感謝いたします。