掲載:2012年7月6日

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ミッドウェー環礁から、アホウドリのひなが今年も巣立つ

 アメリカ連邦魚類野生生物局(US Fish & Wildlife Service)ミッドウェー国立野生生物保護区の研究者によると、2012年6月10日、ミッドウェー環礁からアホウドリの2羽目のひなが巣立ちました(下記サイトを参照)。これは、日本列島以外から巣立った2羽目のひなでもあります。
http://www.fws.gov/midway/whatsnew.html

 昨シーズン(2010-11年繁殖期)に、ミッドウェー環礁のイースタン島で初めて繁殖した1組のつがい(両親とも鳥島生まれで、今シーズン、雄は25歳、雌は9歳になった)は、2011年11月9日に前年と同じ場所に造った巣に産卵し、その卵から2012年1月9日にひなが誕生しました。ひなは順調に育って、6月10日に巣立ち、海に飛び立ちました。昨シーズンの産卵日は2010年11月中旬前半、孵化日は2011年1月14日、巣立ち日は2011年6月17日でしたから、今シーズンは、繁殖時期がおよそ1週間早まったことになります。

 日本列島の鳥島で繁殖するアホウドリは5月末までに大部分のひなが巣立ち、尖閣諸島のものは5月半ばまでに巣立ち終えると考えられます。したがって、まだ2年間の観察結果しかありませんが、ミッドウェー環礁のひなの巣立ち時期は、日本列島の2集団と比較すると、少し遅いかもしれません。もし、そうだとすると、それが気候条件や海洋環境の違いによる単なる時期の移行なのか、それとも周辺海域の栄養条件(とくに、大集団で繁殖するコアホウドリ・クロアシアホウドリとの食物をめぐる競争)に影響されたひなの成長の遅れによるのか、疑問が生じます。今後、繁殖経過の観察例数を増やし、ひなの成長過程をくわしく調査すれば、この疑問は解明されます。その結果は、ミッドウェー環礁におけるアホウドリ集団の将来を予言するでしょう。

 

参照サイト

2012.02.28  ミッドウェー環礁で今シーズンもアホウドリが繁殖