掲載:2009年2月23日
2008年8月にケープタウンで開催されたアホウドリ再生チーム第4回会合での議論をもとに、「アホウドリ再生基本計画」(Short-tailed Albatross Recovery Plan)が改訂されました(2008年9月)。それを、以下のサイトで見ることができます。
http://alaska.fws.gov/fisheries/endangered/pdf/stal_recovery_plan.pdf
2004年11月に公表された初版に対する意見や批判、それ以降に行なわれた調査研究の成果、すでに解決された保護課題などをふまえて、第2版がまとめられました。このように基本計画が改訂されたことは、この4年間にアホウドリの保護活動と調査研究が著しく進展したことを示し、喜ぶべきことです。
絶滅危惧種からの指定解除の条件は、
これら4つの条件がすべて満足されてはじめて、アホウドリが「再生」することになります。
1)の条件は、鳥島集団だけで2020年過ぎに達成されるでしょう。2)の条件も、尖閣諸島の集団が鳥島集団とほぼ同じ(年率7.54%)か、それ以上の増加率で順調に成長していると考えられるので、十分に満足されるでしょう。3)の条件は、尖閣諸島集団が現在75〜80組と推測されるので、それが250組に到達するのは約16年後(2024年)と推測されます。
最後の、4)の条件が最も重い課題です。2008年から12年まで5年間に、孵化後約1ヶ月目のひな(総数は未定、おそらく70〜100羽)が鳥島から小笠原諸島聟島に運ばれ、そこで野外飼育されて無事に巣立ったとしても、それらの幼鳥が成長して聟島に帰り、繁殖を開始するのは2020年過ぎになるでしょう。それら創始者集団の第2世代が繁殖集団に加わるのはおそらく2030年過ぎで、さらに75組のつがいが繁殖するようになるのは20年近くかかるにちがいありません。
実際、鳥島集団で、1950-51年繁殖期の再発見から75組のつがいが繁殖するようになるまで(1985年期)、35年間かかりました。尖閣諸島集団も1970年期の再発見から2008年期に推定75〜80組になるまで、38年間を要しました。したがって、おそらく小笠原諸島集団も、2012年から35年後、つまり2045〜50年ころに75組に到達すると、おおまかに推測することができます。
ただ、鳥島からできるかぎり多くのひなを小笠原諸島に運んで、創始者集団自体を大きくすれば、この推測よりも早く、目標を達成することがでるはずです。